5.0
多様性を学べるツール、それが「アート」
いつもエッジの効いた展覧会(訪れるのは2回目ですが)をやっている滋賀県立美術館さんですが、今回も大変に刺激的で勉強になりました。
入口で展覧会を楽しむためのガイド冊子を頂き、映像作品は上映途中の入場はできませんとコールされたので、告知効果かこれは絶対見たいと思い、途中の作品はおあずけとし、まずは映像作品「聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと」を視聴しました。耳のきこえない木下さんに百瀬文さんがインタビューする内容でしたが、途中から何か変と思い、あっ、これは「タイポグリセミア」だと気づきました。しかし、それは、耳の聞こえる人側からの視点で、この作品の伝えたいことはそこじゃないなと、とても深く、考えさせられる作品でした。
また、常設展で「さわるSMoAコレクション」も刺激的でした。はじめて「触図」という存在を知り、目の見えない方がどうやって美術館を楽しむのか、考え抜いた中から生まれた方法に感動しました。しかも、絵と全く同じように作るわけではなく、よりわかりやすく工夫がされていて、一瞬、作品を変えていいの?と思いましたが、目の見えない方へ寄り添う工夫として理解したらいいのかと思うようになりました。逆に「触図」から絵を脳内で再構成できる能力は、点字を読む力よりさらに高い能力が必要と思われ、これはすごいな、私にはできないなと「へぇ~」の連続した。