3.0
Take A Bath Make A Peace
こちらのAgendAさんから頂いた招待券を握りしめて「テルマエロマエ」の漫画が好きな家人と一緒に出かけた。
「お風呂」を中心にして見ると違うローマが見えてきた。
温泉があるわけでもないローマに、水道を敷設し何十㎞も離れたところから水をひき、温めてお風呂を提供する。「〇〇浴場」の〇〇に皇帝や施政の中心者の名を冠しているように市民に快適な生活、楽しみを提供するのは治めていくのにとても重要だったことがわかった。「パンとサーカス」だけでなく、浴場もローマを平和に保つには欠かせないものだったのだ。体を清潔に保つだけでなく、そこに行けば誰かに出会い交流する場にもなっていた。説明文にも「テルマエは体を洗うだけでなく、体を動かし人々と交流して、心身の健康を保つためも場所だった。(中略)テルマエの複合娯楽施設としては、食事や音楽、朗読会など文化サロン的側面やトラヤヌス浴場、カラカラ浴場には図書館も併設されていた」とあり、お風呂(Bath)が人々の心の平和、政治情勢の平和(Peace)につながっていたのだ。
皇帝かもしれない月桂冠を被った胸像を重りとしてつかった天秤ばかりやストリギウス(肌かき器)などモザイクや彫像が多い他のローマ関連の展覧会ではみられないものも興味深く鑑賞した。
ただ残念だったのは写真撮影のこと、多分提供元が撮影可・不可を出しているのだろうが、写真可と不可が入り混じっている。隣同士で似たような展示物であっても片方が可、片方が不可だったりする。写真撮影可が増える昨今だが、展覧会の中で区別をつけるのでなく、撮れないものがあるならいっそすべて写真不可にする方がよかったのではと思った。
日本との関係でいうと、巡回展の最後が日本有数の温泉、有馬温泉に近いこの会場で行われたのはよかったなと思った。