4.0
浮世絵の過渡期を生き抜いた革新性。
どれも構図が面白いし、抜群にかっこいい。展示の最初に小林清親の夜を表した作品が続くが、それも含めてどれも色が素晴らしい。言うまでもなく、この手の版画は売る前提だから「どこそこの景色」とうのが殆どを占め、下に家や人が多く、上は空が多く、ということになる。その中でいかにかっこいい構図、今までにない情景を表現するかということなのだが、清親の作品には「いっちょ俺がやってやらぁ!」的な自信に溢れたものを多分に感じる。浮世絵が下火になって絵師が減ったこともあるかもしれないし、新版画の展覧会に「絵の具が良くなった為に多様な色彩表現が可能になった」とあったので、まさに絵の具が良くなってきて、環境は良くないがそれでも「これでやっていくぞ!」という一部の浮世絵関係者たちが奮起し、新たな色彩表現や構図の再構築などを目を爛々と輝かせて楽しんでいた頃かもなぁとも感じた。生き生きしてる感じと、ばんばん作りますぜ!いうやる気がすごく伝わってくる。これが新版画になるともっと肩の力が抜けてる感じというか。
ただ作品売れたからなのか、逆に現存するものが少ないからなのか、相当後刷りかな?とか、刷り難しいよねぇ・・・と思ってしまうのも多少あり。多分摺師もベテランが減ってたのかもねぇ。色が増えてきたら尚更経験値がないと難しいよねぇ。
また謎の小倉柳村、ど頭の一枚は「おおっ!」となった。明らかに普通の絵師の感覚と違う構図を作ってる。うーん、少ないのが惜しい。
図録悩んで買ってこなかったのを後悔してる。近々また観覧がてら買いに行こうとおもいます。