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『陶色遊覧』@白鶴美術館in 神戸

休みの日の午後に思い立ってフラッと近くの美術館へ出かける。
「白鶴美術館」は、神戸住吉の山手にあって最寄り駅から坂道を上っていくとデーンと重厚な建物が見えてきます。
西宮から神戸にかけては、酒造りが昔から盛んで、酒蔵巡りを楽しめます。「財団法人白鶴美術館」は、名前の通り、白鶴酒造の七代目嘉納治兵衛が昭和6年古希を記念して設立し、昭和9年に完成開館した美術館です。創設者七代目嘉納治兵衛は、奈良の旧家中村家(古美術を扱っていた)の出で、嘉納家に婿養子として迎えられたようです。古美術に親しむ機会も多かったためか、幼いころより古美術大好き少年だったようで、初めて開かれた正倉院展のお手伝いもしたというエピソードも残っています。
もともとお好きだったこともあり、当時の財界人に並ぶ古美術蒐集家であり、茶人でもあって、雅号は、「鶴堂」「鶴庵」「鶴翁」です。(「白鶴美術館」リーフレットより一部引用)
昨年京博で切断されて100年「佐竹本三十六歌仙絵」の展覧会がありましたが、七代目嘉納治兵衛は、切断されたうちの《藤原元真》の最初の所有者でした。益田鈍翁からその場にお声がかかったのは日本を代表する財界人であり、七代目嘉納治兵衛もそのお一人であった証です。(※《佐竹本三十六歌仙絵 藤原元真》は、その後大阪の幸福相互銀行(頴川家)にも渡り、現在は文化庁所蔵となっています。参考:『秘宝 三十六歌仙絵の流転 絵巻切断』)
耐震などから建替えが続く美術館が多く、大好きだった土蔵の展示室の藤田美術館も建て替え中です。白鶴美術館は外観も内部も開館当時の面影をとどめています。神戸山手の立地から大阪湾が一望のオマケもつき。初めて訪れる方はその門にも驚かれるかもしれません。
中庭を挟んだ事務棟と展示棟は廊下で繋がり、廊下の明かりにはなんと鶴のモチーフです。鶴のモチーフはほかにもあるそうです。1Fの展示室は折り上げ天井で床は木のモザイクで音や湿気が吸収されるようになっているのでしょうか。展示室は大きくとった窓からの自然光の中、独立ケースが並びます。お軸などは奥の作り付け展示ケースに吊るして展示されています。光の具合やガラスのゆがみ?で少し見づらいのですが、なんとも味わい深く、今となっては貴重な展示ケースです。春と秋に企画展が開催されています。
今回の秋季展は「陶色遊覧」中国の陶磁器を時代ごとの特徴的な色調の変化に視点を当てた展覧となっていました。「唐三彩」に観られる緑と黄の唐、青磁と黒釉の宋、「金襴手」と呼ばれる赤と金の明。色調の変化の面白さや器体に描かれた龍虎の睫や肉球のお話、「五彩魚藻文壺」をグルっと巡って見てみると、魚はいつも3匹?など興味深い解説もありです。2階展示では、玳玻天目茶碗や禾目天目茶碗が並んでいました。《油滴天目大鉢》油滴天目で「鉢!!」とちょっとびっくりしました。
所蔵品は、中国日本を中心とした東洋古美術です。それは海外への流出を防いだものだったのか、何故ここに!の驚きのお品も所蔵されています。白鶴を下って阪急御影すぐにある香雪美術館の村山龍平、西洋美術館の松方コレクションの松方幸次郎、横浜三渓園の原三溪と当時のお金持ちは、自分のためだけのコレクターではなく、芸術家を支え、コレクションは世に広く公開すべしとの思いが素晴らしいと常々感じるのです。
1/17から会期末まで2Fのお床に探幽筆のお軸がかかります。

白鶴美術館のすぐ下には、震災までお住まいだった乾汽船の「旧乾邸」があります。こちらは、いまは神戸市の所管になっており春と秋に公開されています。(申込抽選)阪神モダニズムを感じさせるモダンな建物です。
白鶴美術館ホームページ:http://hakutsuru-museum.org/

プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
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