ダニエル・アーシャム個展 「31st Century Still Lifes(31世紀の静物)」|ペロタン東京
六本木にあるギャラリーペロタン東京で、ダニエル・アーシャムの個展 「31st Century Still Lifes(31世紀の静物)」が開催されています。
ダニエル・アーシャムは今年2月に都内各所において、“1000年後に発掘されたポケモン” をテーマにした「A Ripple in Time(時の波紋)」で様々な遺跡風のポケモン作品を展示していたので、目にした方も多いかもしれません。私も六本木ヒルズの 66プラザでブロンズ像を目にした記憶があります。
それ以前も日本で何度か個展を行っているようで、ペロタン東京においては今回で2回目になるそうです(前回は未見)。
今回、個展の開催を紹介していたサイトやギャラリーの公式サイトで “31世紀の静物画” を見て、実際に作品を見たくなり訪問してみました。
ギャラリーのメイン展示スペースにはインパスト(厚塗り)技法を用いて制作された静物画5点と、ブロンズとステンレスを組み合わせた立体作品が2点。
31世紀の静物を描いた平面作品はブルーとイエローが基調となっていますが、その色彩は独特な印象。
描かれているのはギリシャ神の彫刻に、スニーカーやカメラ、バスケットボールなど身近なものがいろいろ。
書籍も描かれていましたが、何気なく背表紙を見ていくとマグリットやカルダー、ル・コルビュジエに混ざって nendo の文字が。これは佐藤オオキさんのnendoのこと?っていうような意外性があったり。
ダニエル・アーシャムが想定した31世紀に静物画として描かれるモノ(対象)と思って細部を見ると、なかなか興味深いものがありました。
そこから奥に進んだ先にあるスペースには架空の考古学を題材としたハイドロストーンで表現した映画ポスターの作品が3点展示され、対象作品は『E.T.』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』、『2001年宇宙の旅』。
このシリーズは「Fictional Archaeology(フィクションとしての考古学)」と言うダニエル・アーシャムの代表的な手法だそうで、ハイドロストーンにブルーカルサイト、ローズクォーツ、セレナイト、水晶結晶などの地質物質で表現されています。
そういえばメインギャラリーの静物画のギリシャ神の彫刻にも、ところどころに地質物質らしきものが描かれていました。
更に奥にある展示スペースには、他の作家の作品に混ざってダニエル・アーシャムのドローイング2点が展示。関連書籍も数冊置かれていました。
ダニエル・アーシャムは先天的に色覚異常(色盲)を持つことから、白と黒を基調した色数が少ない作品が多いのだとネットで知りました。今回展示されていた静物画を見て感じた独特な印象はそういった影響もあるのかもしれませんが、考古学的なモチーフと相まって不思議な雰囲気を醸し出していて、妙に惹きつけられてしまいました。
今後の動向が気になるアーティストの一人です。
■ダニエル・アーシャム 「31st Century Still Lifes(31世紀の静物)」
会期:2022年8月26日(金)~2022年10月15日(土)
会場:ギャラリーペロタン東京
時間:12:00~18:00
休館日:日、月、祝
料金:無料
https://www.perrotin.com/exhibitions/daniel_arsham-31st-century-still-lifes/9603