小倉遊亀と日本美術院の画家たち展 横山大観、菱田春草、安田靫彦、前田青邨、速水御舟ほか
滋賀県立美術館|滋賀県
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リニューアル以来初めての滋賀県美と小倉遊亀展 どちらも良かったです。
アートアジェンダさんから招待券を頂戴して、それならちょっと遠出でもと出かけてきました。
コロナ禍以来一番の遠出か?と思ったが、大阪から新快速で1時間ほどで行けてしまうことに今更ながら驚きました。なら、奈良の方が遠いかもと。コロナ禍以来、西は明石までしか行ったことがなく、時間的にはほぼ同じくらいの遠さなのでした。
メインヴィジュアルの《径》 1966年、東京藝術大学蔵 可愛いですよねー。構図もとっても素敵です。私はご長寿女性画家たちの作品がお気に入りです。いつも「まだまだひよっこね」とパワーを貰って帰路につく感じです。
小倉遊亀(1898-2000)105歳
三岸節子(1905-1999)94歳
片岡球子(1905-2008)103歳
秋野不矩(1908-2001)93歳
堀文子(1918-2019)100歳
小倉遊亀は、ご長寿女性画家の筆頭株、松園さんに続いて女性で二人目の文化勲章を受章しており、受賞後の記念写真に一緒に写真に写っているのが、いつもダンディな丹下健三でした(笑)
『大坂の日本画』を観て、大阪画壇に女性画家の多さが話題になりました。その中でも「三都三園」と称された一人島成園がとても印象に残りました。大阪中之島美では年末から「女性画家たちの大阪」という展覧会が予定されています。Twitterで『島成園と浪華の女性画家』という図録が良いよと教えて頂き、たまたま図書館に所蔵があり読んだ所でした。
女性画家たちは、師範学校を出た人が多く、教員として働きながら画家としての道を模索。結婚して家事もこなし、子育てもし、親や夫の介護もあったりして、大きな作品が描けず、身近な静物画を描かざるを得なかったことも。それでも筆を折らずに描き続けて、だいたいは、旦那が亡くなると大きくその個性を発揮すること多し。70くらいから他にととらわれることなくドンドン独自の画風に邁進し、90を超えても尚その作品は瑞々しさでいっぱいで、いつもいつもご長寿女性画家の作品から、その生きざまからパワーを貰う気がしています。そこは才能だけでない強靭な精神性が通って居るよう。
小倉遊亀の場合、師となる安田靫彦がとても素敵な方で、師との出会いも大きかったのではないでしょうか。決死の覚悟、ご本人は「死装束」で安田靫彦のもとへ出向いた遊亀を優しく迎え入れ、弟子となりたいと請うた遊亀に「師でなく先輩として」と承諾。御舟の写実性に心動かされ、静物画を描いてみるが思うように描けない。前のめりな弟子遊亀に師は「自分を出そうとしなくても、見た感じを逃さぬように心掛けてゆけば、その都度違う表現となっていつの間にか一枚の葉っぱが手に入りますよ。一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体手に入ります。」と話したそうで、やがて小倉遊亀の静物画を師の安田靫彦は「北鎌倉の特産品」と呼んだそうで、とってもとっても素敵な師弟関係です。
滋賀まで出たついでに、念願だった山元春挙の別邸「蘆花浅水」にも伺ってきました。本来なら昨年の「生誕150年 山元春挙」の折に伺いたかったのですが、まだまだコロナが不安で私的には遠出は出来ませんでした。
遊び心も兼ね備えた日本画家の別邸、「百年名家」でも紹介されてましたけれど、実際拝見して、本当に春挙の思いを特別の材を使って大工の技を駆使した建物でした。皆さんも、もし機会がありましたら訪れられることを強くお勧めします。
京都よりはずっとずっとゆっくりと出来る滋賀がお薦めです。
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- BY morinousagisan