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2025年春季特別展 能楽の美―能面・能装束と能楽ゆかりの茶道具—

2025年春季特別展 能楽の美―能面・能装束と能楽ゆかりの茶道具—

野村美術館|京都府

開催期間:

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能楽にのめり込んだ近代財界人

春季の野村美術館の特別展は「能楽」です。
野村財閥の創始者である野村得七(1878-1945号「得庵」)は、30代半ばで謡の稽古を始めましたが、その頃は超多忙と「茶の湯」の方に興味があったようです。その後24世観世左近と知り合って、次第に能楽にのめり込んでいったそうです。南禅寺界隈別荘群の一角にある京都別邸「碧雲荘」にも能舞台を拵えて、客を招いて自分で舞って能を披露したそうです。碧雲荘の能舞台で得庵が舞う能にご招待された洋画家の太田喜二郎がお礼に描いた《碧雲荘舞台披露絵巻物》も展示されていました。
 畠山美術館の即翁もそうでした。まっ、加賀前田藩お膝元金沢では、「道ゆけばあちこちから謡が聞こえ『空から謡が降ってくる』」と言われるほどで、即翁さんは「生まれる前から、母のおなかの中で父の謡を聞いて育った」と話していたそうですから。即翁にとって能楽は「美意識の支柱」と京博で開催された「畠山記念館の名品」展の図録にあります。得庵にとっても美意識の支柱は「能楽」と「茶の湯」にあったのでしょう。近代数寄者のお金持ちぶりは現在の比でなく、超多忙だった方々の能楽や茶の湯へののめり込み様も尋常ではありません。
本展では、「得庵が能楽を行うために入手した」能楽関係の美術品が展示されています。人さまに能楽コレクションを見せるためでなく、自分が身につけて舞う為だったという事でしょうか。能面、それぞれの役回りなどの解説を読み、1枚1枚眺め歩き、へぇ~と、時々そうなのかと。現実とそうでない世界を往還する幽玄な摩訶不思議な世界観。妖しい役の面の眼には、それを強調するために金がめぐらされており、松園さんが《焔》の六条御息所の白眼に裏彩色で金泥を入れたのは、松園さんも謡を習っていたことからもあるかもしれないと思ったりしました。(「生誕150年記念 上村松園」@大阪中之島美術館に向けてちょうど『青眉抄』を読んでいましたので思い浮かびました)
能面は、旧蔵は観世宗家と水戸徳川家(能楽界を支援し、大変な時期に一括購入して、一部はそれぞれの持ち主に戻されたとも)、能装束の大半は昭和11年の加賀前田家の売立てで入手したものです。売立ての凄まじさもいつも思ってしまいます。
面ははぉ~と眺めるばかりですが、能装束、こちらはこれほど豪華な衣装はありません。意匠と言い、刺繍と言い、摺泊と言い、織と言い。能装束の多くは地下展示室に展示されていました。ひぇーとマジマジと視たのは《黒船段織厚板》(前期展示)大正5年の西本願寺の売立で豊臣秀吉が所持したと伝わる代物だそうです。こーんな能装束もあるのですねー。能楽にそれほどにのめり込む、その魅力は何だったのでしょうか
茶道具の展示だとお茶の先生がワイワイとお出でになっているときもありますが、会期初めもあってお能となるとほぼ貸し切り状態でした。春節が過ぎ、春休み前の今の時期の京都はちょっと落ち着いていました。入館料が、1000円になって、200円高くなっていましたが、それでもこのロケーションでこの料金は有難いです。前後期で全展示替えです。

さて、今回の京都行の目的は実は別にありました。南禅寺界隈別荘群の1つである「對龍山荘」をニトリが取得し、2月から公開しています。しかも予約なしでOK。京都がごじゃごじゃ賑わう前のシーズンオフ料金が3/19までということで、近くなので野村美術館の春季展も併せて行ってきました。野村美術館からは歩いて10分ほどです。死ぬまでに1度でいいから入りたいと願っていた野村さんの「碧雲荘」は、コロナ前の何年かに1度の公開に何十か何百かの倍率をくぐって当選し(この時一生分の運を使い果たしました)お庭を無料でご案内頂きました。ニトリさんはお庭だけでなく邸内も拝見可、写真も可でした。SNSはOKですが、アートブログとなるとちょっととのお話でしたので、ここにお知らせしておきます。シーズンオフということで、梅が咲いてはおりましたが、そりゃー枝垂桜や紅葉の時期はどんなにか美しいだろうと思いました。今のところ、外国人観光客には広まっておらず、見学者も知る人ぞ知るなので、ご興味のある方には是非とお薦めしたいです。

對龍山荘庭園 https://tairyu-sanso.jp/

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