鑑賞レポート一覧

第76回 正倉院展

第76回 正倉院展

奈良国立博物館|奈良県

開催期間:

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年々展示は進化している。

正倉院展が始まっています。関西に住んでいればもうこの時期かと毎年思います。
私は、このためにちょっと遠い奈良博のメンバーに入っていると言っても過言ではありません。
呉春展@大和文華館の無料招待デーに合わせて行ってきました。ちょうど1時過ぎに着いたので混んでいるのではないかと不安でしたが、コロナ禍以降日時指定となって1時の時間帯の人が並んで待ってはいましたが、第一展示室の壁面は混みますが、左右どちらから見始めてもOKということで、左からそして独立ケースから見始めました。特にその年のトピックとなる作品は独立ケースに展示してあります。勿論、正倉院展ではスコープは必携で、ここのところお持ちになる方もぐっと増えてきました。
奈良までの電車の中で主な出陳宝物については読んでおくことにしました。
また、奈良博のYoutubeにアップされた今年の正倉院展についての動画も見ました。
<正倉院展講座>第76回正倉院展のみどころ 三本周作・奈良国立博物館研究員
https://www.youtube.com/watch?v=5KT5Zw55Ntw

今年は何といっても
・紫地鳳形錦御軾(むらさきじおおとりがたにしきのおんしょく)〔錦張りの肘おき〕 1枚
・黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)〔七宝細工の鏡〕 1面
でしょうか。
『紫地鳳形錦御軾』は、聖武天皇が実際にお使いになっていたお品とも伝わり、その復元模造品も仕上がったばかりで、隣に展示され、「紫地」ということが模造品からから納得するのでした。しかしながら、宝物自体の保存状態の良さに驚きました。模造品を製作するにあったっての調査研究、制作過程の動画もあって、いにしえの工人たちの思いやそこへ近づける模造品を製作する現代の職人さんたちの技と苦心にも感動しました。復元模造品は、技術の継承や今後の修復、研究に大きく寄与することもよく分かりました。単位は1枚ということも初めて知りました。レポートを書かなかったら気づかなかったポイントです。
【第76回正倉院展】奈良国立博物館・担当学芸員の「推し宝物」①
https://www.youtube.com/watch?v=d95IqFMEt2c

『黄金瑠璃鈿背十二稜鏡』は、ポスターやチラシのメインヴィジュアルになっていて、その色彩にわーっと目が惹き寄せられます。その上この鏡は七宝というのですから驚きです。世界唯一の七宝の鏡です。しかも一般の鏡はブロンズ製ですが、こちらは金?奈良博での前回の出陳は2000年なので、どうりで私は初めて目にした訳です。
第76回正倉院展】奈良国立博物館・担当学芸員の「推し宝物」②
https://www.youtube.com/watch?v=9kgrl7T5Rv8

第一展示室左から入った私が最初に目にしたのが
『黄金瑠璃鈿背十二稜鏡』が収納してあった『漆皮八角鏡箱(しっぴのはっかくかがみばこ)』1合 蓋の上に金泥でしょうか?模様が描いてありまして、これは単眼鏡でなければなかなか確認できなかったのではないでしょうか。
『花鳥背円鏡 附 帯、紙箋』こちらもチラシやポスターになっていました。白銅製で一見地味ですが、唐からの舶載品(はくさいひん)で、鏡背の文様を単眼鏡で覗くとそれはそれは美しい世界が表れてくるのです。
同様に『新羅琴 附 琴柱』、こちらの前回の出陳は平成10年(1998)で私は初めてこの形状のお琴を観ました。お琴の「槽」と呼ばれる胴部分に截金で繊細な模様が施してありました。解説パネルで拡大画像もあるのですが、単眼鏡で直に確認するワクワク感たまりません。
『紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)』両面の削り出された模様と緑の彩色は心憎い。
【第76回正倉院展】奈良国立博物館・担当学芸員の「推し宝物」⑤
https://www.youtube.com/watch?v=7gCyvwBXrzE

毎年出陳される献物箱、今年は『沈香木画箱』『緑地彩絵箱』木画と呼ばれる木片によるモザイクの緻密さ細かさは何度見ても目を見張ります。
【第76回正倉院展】奈良国立博物館・担当学芸員の「推し宝物」③
https://www.youtube.com/watch?v=vc6n4CHXCyw

拡大した画像がパネルでも解説されていますが、実際に単眼鏡の先にある世界、「美は細部に宿る」「神は細部に宿る」でしょうか。

今年はガラスの宝物が多く展示されています。材料となったガラス片も展示されていました。
硝子の魚型腰飾り、可愛いです。『深緑瑠璃魚形』『浅緑瑠璃魚形』『碧瑠璃魚形』『黄瑠璃魚形』目と鰓を線で刻んだ上から金や銀いれています。魚というところが味噌なのですが。
ミュージアムショップの硝子の魚型腰飾りの箸置きは売り切れだそうです。同じように皮の紐を通してペンダントにしてプレゼントしたかったです。『碧瑠璃魚形』今年の一押しです。
『碧瑠璃小尺』には金で、『黄瑠璃小尺』には銀でメモリが刻んでありました。銀の目盛りは、当然ながら黒くなっていました。
硝子を焼いているので、色が変化していないのではないかと思います。
【第76回正倉院展】奈良国立博物館・担当学芸員の「推し宝物」④
https://www.narahaku.go.jp/wodpr_nh9/wp-ontent/uploads/2024/10/202410_shosoin_list1007.pdf
これらも模造品も展示されています。その模造品制作は日美でも紹介されたかもと思いますが、正倉院のYouTubeにもアップされています。
「史上初 復元品の制作に密着!天平のきらめき 正倉院のガラス宝物」
https://www.youtube.com/watch?v=RT2gZJMrBIc

正倉院展ならではの特別な技法「撥鏤」や「夾纈」を目にすると私はゆかしくて愛おしくさえなります。今年度から奈良博のHPに「正倉院展用語解説」が設けられ重宝します。https://shosointen-glossary.narahaku.go.jp/

小建築の部材『紫檀塔残欠』は、まだ何の部分なのかは解明されていない、これからの調査研究が待たれるお品です。
文書も勿論展示されています。それにしても膨大な、気の遠くなるような写経事業にうーんとなりました。
もう1点初めて見た気になった宝物があります。
『花氈』花模様のフェルトの敷物 1床 前回出陳は昭和40年だそうです。ふかふかであったかそうでモダンな文様で素敵でした。

展示を観終えて、年々正倉院展って展示が見やすくなってる!解説が分かり易い!と思いました。パネル解説も多すぎても読むのが面倒だったりしますが、それがちょうどいい具合かつ見えない細かなところはしっかり見せてくれる。
そんな感想をもつのはあんただけやわーと言われてしまいましたが、SNSなどの発信も活用すると理解が深まるのではと思います。来館者に分かり易く見てもらおうとの思いも伝わる正倉院展でした。次回の日美は正倉院展ですね。

なら仏像館では、大発見となった「聖武天皇の大嘗祭木簡」の展示をしています。今年は聖武天皇即位から、ちょうど1300年だそうです。新嘗祭のうち新天皇が即位して最初のものを大嘗祭というそうで、まさに聖武天皇が1300年前に即位した年に開催された大嘗祭の時の木簡です。正倉院展のチケットで仏像館も見る事が出来ますのでこの機会に是非是非!

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