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1760年(宝暦10年)に本所割下水付近(現在の墨田区亀沢付近)で生まれ、およそ90年の生涯のほとんどを墨田区内で過ごした、世界的な画家として評価の高い葛飾北斎やその門人の作品の紹介、また北斎と「すみだ」との関わりなどについて伝え、地域の産業や観光に寄与する地域活性化の拠点として、「すみだ北斎美術館」が2016年11月22日に開設した。
すみだ北斎美術館では、国際的な期待に応えることができる、状態が良く質の高い作品を収集し、コレクションを充実を目指す。墨田区が収集した作品に加え、現在の収蔵作品のうち特筆すべきものとして、ピーター・モースコレクションや故楢﨑宗重コレクションをはじめ、高名な研究者から譲り受けた資料がある。
◆ ピーター・モース コレクション
ピーター・モース氏(1935-1993)は、ホノルル美術館副主任研究員等を歴任し、東西の版画芸術を研究する一方、葛飾北斎の一大コレクターとして世界的に知られた存在であった。大森貝塚を発見したエドワード・S・モースの血縁(弟のひ孫)にもあたる。モース氏のコレクションは、欧米における北斎の個人収集としては最高・最大の内容と言われ、研究者の眼で収集された希少価値の高い作品が多く含まれていることが特徴である。平成5年のモース氏の急逝後、そのコレクションの散逸を惜しんだ遺族の「すみだ北斎美術館」計画への理解により、総数600点に近い北斎作品や研究資料などを墨田区が一括取得するに至った。
◆楢﨑宗重コレクション
楢﨑宗重(ならざきむねしげ)氏(1904-2001)は、浮世絵の研究者として数多くの著書や研究論文を発表し、浮世絵研究の日本での第一人者といわれている。楢﨑氏のコレクションは、自身の研究活動の中で収集・所蔵していたもので、浮世絵版画に止まらず、浮世絵にまつわる資料として、日本及び中国の古美術から近世絵画・版画、近代絵画まで、さらに日記や絵巻物などの関連資料も含まれている。日本美術の正統的な価値を年代順に追うことのできるコレクションとしての価値は高く、体系的な美術史研究を進める上でも貴重な資料といえる。すみだ北斎美術館開設の趣旨に賛同を得て、平成7年に一括して寄贈を受けた。
すみだ北斎美術館の建築は、妹島和世の設計によるものである。浮世絵作品の保存展示を考慮し、建物全体として閉じながらも、スリット部分からは館内の様子が伺え、地域の人々にとってすみだ北斎美術館が身近に感じられるものとなる。また、館内からも公園や周辺地域を眺めることができ、最上階からは東京スカイツリー®といった墨田の特色を眺めることができる。建物外壁は、淡い鏡面のアルミパネルが使用され、建物外壁にやわらかく下町の風景が映り込み、周辺地域の風景に溶け込んでいる。
◆妹島和世 プロフィール
1987年妹島和世建築設計事務所設立。
1995年西沢立衛とともにSANAAを設立。
2010年第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務める。
主な受賞として日本建築学会賞*、ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞*(イタリア)、プリツカー賞*(アメリカ)、芸術文化勲章オフィシエ(フランス)、芸術選奨文部科学大臣賞*、村野藤吾賞など。(*はSANAAとして受賞)
すみだ北斎美術館は、自館所蔵作品だけでなく、国内外から作品を借入れ、多様な企画展示を行うために、デリケートな浮世絵作品の保存展示に適した機能・設備を備えている。
すみだ北斎美術館の建築地には、江戸時代に弘前藩津軽家の大名屋敷があった。藩主からの依頼により、北斎は屏風に馬の絵を描いて帰ったというエピソードが残されていることなどから、この場所は北斎とゆかりの深い土地であるといえる。
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