4.0
タイトル通りに、北斎と、江戸の芸能を楽しんだ感じです
「すみだ北斎美術館」さん、平日午後ながら相変わらず混雑していました。男女ともに私も含め年配の観覧者さんが多い(シニア割があります)のですが、やはりこの美術館は海外からの方々がかなりいらっしゃいました。海外の方は日本の方以上に、皆さんとても熱心でした。
作品は、若い頃の作品から晩年まで、とにかく膨大な量です。やや小さい展示スペースにぎっしりです(総数120余点、前後期各70余点で一部入れ替えあり)。そしてちょっとした挿絵でも、大判・中判の錦絵でも、北斎のセンスが光っていました。楽しめました。「浮世絵」は、世の中の最新風俗を紹介するメディア。ファッション、流行スポット、相撲や見世物小屋などの興行……歌舞音曲、芝居興行などの芸能も、世間の関心が深いジャンルのひとつです。では、葛飾北斎はどんな風に「浮世」の「歌舞音曲」を描いたのか。それを特集するのが、今回の展覧会だったようです。
今展で気に入った作品は、「新板浮絵三芝居顔見世大入之図」、それから踊り稽古指南の絵の数々です。北斎は北斎漫画でいろいろ絵手本を描いているのは有名ですが、踊りの稽古指南の絵を随分描いていました。それをコマ送り映像で見せているのがあって、なかなかに面白かったです。悪玉踊りなど、ホント笑えますね。
展示の区切りを普通は○章とかしますが、ここではちょっと小憎く「一幕目」の「第一場」「第二場」‥、「二幕目」の「第一場」‥などと芝居のように区切っていました。ほぼ北斎の作品ですが、一幕目には最初の師匠だった役者絵の名手勝川春章や、その後継者の一人春英の作品も観ることが出来ました。その後もたまに、他の作者のものも見うけられ、最後の「大喜利 北斎と芝居」では、歌川豊国・国貞・国芳、や北斎の門人北輝の作品もありました。全体を通して、見どころ満点でした。
画業約70年、幅広いジャンルの作品を残した北斎。芸能に関する絵も、ことほど左様に多いのですね。時にリアルに時にユーモラスに歌舞音曲を描き出す、凄まじき北斎の筆に感嘆です。江戸の歌舞音曲の世界、とても楽しかったです。