坂本龍一のフラグメント

「TOKYO MELODY/RYUICHI SAKAMOTO」を観に行った。
1984年に撮影された坂本龍一のドキュメンタリー作品。当時32歳だった坂本の「日常」を窺うことができる。
(以下内容に触れる)

坂本龍一を断片的にしか知らない。YMO、ダムタイプ、「戦場のメリークリスマス」(観たことがない)、NHK日曜美術館の坂本美雨さんのお父さん……。
が、本ドキュメンタリー作品も、断片から構成されている。インタビューの様子(しかも、どんな質問に対する答えなのかわからないインタビューもある)、YMOのコンサートの一部、ご飯を食べたりタバコを吸ったりしながらのレコーディング風景、そして当時の東京の街……。
というわけで本作で坂本のことを系統的に知ることはできないと思うが面白かったし、坂本龍一に関する断片がまた新しく増えた感じだ。
当時の日本について語る坂本龍一は80年代の日本を正確に捉えていたし、その内容は現代でも通じるような気がする。(現代日本に若い坂本龍一が生きていたとしたら、いったいどんな音楽を作っただろう)
目まぐるしい技術革新と私たちの生身の感覚のギャップ、音楽のジャンルは豊富だけど内容を見ると均質化しているカタログ文化(カテゴリー自体に本質が存在している)、いたるところでBGMが流れる街中では、音楽は始めから終わりまで鑑賞するものではなく断片的に受容するものに変化する。制作の側面でも、音楽は始めから終わりまでリニアに作曲するのではなく、一部のメロディを制作してそれを保存し、その断片は曲のどこにでも置くことができるようになった。そういった音楽(受容・制作)の変容は、坂本が勉強したというクラシック音楽の伝統と相克するものだったはずだ。そのような相克の中でも、現代社会と関わりながら音楽制作を続ける姿に坂本の真摯さというか心意気を感じた。
坂本龍一をほとんど知らない私でも結構楽しめる映画だった。
入場特典で坂本龍一のキラキラステッカーを貰えた。
