4.0
確かにヴァカンスをイメージできる展示
2つの展示室のうち、一方は全て絵画の展示、「南仏の光」というテーマ。こちらにはセザンヌ、デュフィ、マティスというビッグネームが南仏を描いた作品が並んでいます。いかにも南仏を思わせる、緑、水色、乳白色(石灰岩の白色)が多く用いられていて、今の季節(夏)にピッタリの作品だと感じました。濃い赤を多用しているマティスはともかく透明感のある色彩のデュフィは涼し気でこの時期の部屋に飾りたい作品だと思いました。
また展覧会チラシ等でメインに扱われているカモワン「水浴」はセザンヌの影響を受けているとのことでしたが、確かにセザンヌっぽさを感じる作風でした。マティスやデュフィと共に「フォービズム」の中心的作家とのことですが、フォービズムの幅広さを感じます。
もう一方の展示室では多数のピカソの彫刻と、シャガールの作品が目を引きました。
特にシャガールは完全に唯一無二の「シャガール」で、色使いも世界観も素晴らしいものです。80歳、90歳と、高齢の晩年にも大作といえるような作品を描き上げていて、その情熱には尊敬以外の何もありません。
今回の企画展は、教科書レベルのいわゆる大作はありませんが、「南仏」というテーマでまとまりを感じる良い展示でした。プロヴァンスとか、南仏に行ってみたくなりました。きっと今もこの絵画を変わらない景色を見ることができるんじゃないかと想像が膨らみました。
また、宇都宮美術館は郊外(田舎)にあるため、施設の天井が高く空間がとてもゆったりしていて、ある程度の客がいても混雑を感じない良い美術館だと感じました。