4.0
シャガールの歩みが分かりやすい展示
展示室は、若年期の白黒のリソグラフから始まり、壮年期のしっかりとしたタッチと色遣いの作品で終わる。シャガールの年表が展示会の一番最後に来たことが興味深く、変遷をたどるために、入り口付近に戻り、最初から展示をざっと見直しに行った。(自分も壮年となり、人の年齢と仕事の変遷に興味あり) 子育てを一段落し、久々に美術館に足を運んだ至福のひと時でした、ありがとうございました。シャガールの赤・青・黄色、そして緑と白の色遣いは素敵だなぁと改めて感じた。赤に赤、ほぼ真っ赤な一枚は、この地球沸騰化を予言したものだろうか。 30年以上前に訪れたニースのシャガール美術館は、壁紙の色が赤だったか? 展示室全体が、カラフルで色の力が強い印象があり、本展は、きれいな白壁。最初の数分間は、清楚すぎて視点が定まらない気持ちがしたが、白壁にきちんとまっすぐに並べられた作品群は、とても見やすかった。 ユダヤ人として生まれ、歴史の波に翻弄されたであろう芸術家の人生にしばし思いをはせた。今も、戦火が収まらない欧州。戦火を潜り抜け、97年間の人生を全うしたシャガールという芸術家は、今の世の中をどのように見るのだろうか。