4.0
まさに肉筆画浮世絵の魅力満載
なかなかの大混雑ぶりでした。平日の午前、太田記念美術館さんでここまで混んでいたのは、初めてかも知れません。吹き抜け部の2階袖壁添いに設けられた平置型の覗きケースが『大江山絵巻』のみであまり使われていなかったので、展示作品数はいつもよりやや少なめのはずです。50点程?です。それでも展示ケース前に何人も重なるようにして観る状態で、単眼鏡に頼りつつ人の後ろから覗き込む感じで観て回り、最前に行けたら今度は後ろが人でいっぱいで下がれなくなるなど、なかなか疲れました。外国の方々がとても多かったのは、団体さんか何かだったのでしょうか? 太田記念美術館さんもインターナショナルに知られる美術館になっていたということでしょうか。それは良いことなのかもしれませんね。
『葛飾応為「吉原格子先之図」―肉筆画の魅力』というタイトルながら、HPもわざわざ言っているように、葛飾応為の作品は『吉原格子先之図』一点のみです。それでも「肉筆画の魅力」というだけあって、菱川師宣から喜多川歌麿、葛飾北斎、明治の月岡芳年、小林清親に至るまで、ちょっと変わった岩佐又兵衛、司馬江漢などまで、有名どころの浮世絵肉質画、オンパレードです。これだけの一点物の浮世絵に出会えるのは、本当に貴重な機会です。まず最初の北斎『羅漢図』に、件の応為に、歌麿『美人読玉章』、この三点、すごくいいです。その後も、この絵師、こんな絵も描いていたの?という感じのバラエティーに富んだ内容で、見応え満点です。それから版ものの浮世絵は額入りが一般的ですが、肉筆画はやはり軸装されたものが多いです。着物の帯にも、と思うような素敵な布が使われていたり、絵と表具の両方を楽しめ、とても面白かったです。
2015年に杉浦日向子さん原作のアニメ映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~(漫画は1980年代に連載)』や、朝井まかてさんの2016年の小説で2017年にTVドラマ化された『眩〜北斎の娘〜』。他にもコミックや小説等では色々描かれていて、その人気から北斎の娘お栄(画号応為)はあちこちで取り上げられていますね。太田記念美術館さんでは、3年半前「開館40周年記念肉筆浮世絵名品展」で『吉原格子先之図』が展示されて以来3年半ぶりだそうですが、私はもっと前、2014年の『葛飾応為「吉原格子先之図」-光と影の美』展以来でした。2020年秋にはトーハクで『月下砧打美人図』を観まし… Read More