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1300年前の鮮やかな姿が蘇る。再現への思いも伝わります。
コロナ禍の今年は当然のことながら、恒例の「正倉院展」の開催は難しい。
気にはなっていたが、8月に入って経由地の大阪の感染者数がどんどん増え、それに連日の酷暑で出かける気が削がれ、会期末になってようやっと出かけてきました。
こーんながらがらの興福寺境内は初めてかも、鹿せんべいをやる人もなく、鹿さんたちはゆっくりと草を食んでおりました。
博物館の中はそれほどガラガラでもなく、慎重に人との距離を取りながら拝見しました。
1300年前の技を再現するのはそうそうたやすいことではない。途絶えてしまった技術、調達が難しくなった材料、再現に臨んだ方々の強い気持ちも伝わります。私などからすれば、気の遠くなるような緻密、細やかな手先のお仕事です。模造品再現は、技術の伝承と宝物の材料、技法、構造などの最先端での研究。目を見張るような再現模造作品は、当初の色彩と造形が目の前に現れたよう。今後は日本各地を巡回するそうで、宝物は巡回できないけれど、再現模造品なら各地を回ることができ、決して見劣りすることはない、素晴らしい再現模造品の数々。
1300年前の名もなき工人たちの技術に感服しかり。もうそんな時期なのかと関西に住んでいると毎年思う「正倉院展」の開催を告げるニュースは今年は聴かれそうにありませんが、今年も宝物が1300年守り継がれてきたたことに感謝です。