秋季茶道具取合展「秋懐」@北村美術館
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- by morinousagisan
秋も深まってきました。
京都も徐々に人が増えてきています。何故か春の桜と秋の紅葉は京都で楽しみたいとの方が多いよう。
出町柳駅を出て、鴨川を渡ってすぐにある茶道具の美術館、北村美術館は秋と春に展覧会があり、その会期中にお隣の四君子苑も時期を限定して公開されています。
大好きな美術館のひとつで、あまり紹介したくないかもの静かな美術館です。
秋季展のテーマは「秋懐」
「秋懐」とは「秋のさびしい思い」、ネットで調べると「秋のころ、心に感じ思うこと」。
茶の湯の「わびさび」の「わび」にも通じ、晩秋は、お茶にもっともふさわしい時候のようです。
展示はいつも、茶会のように進みます。
今回の展示は「展示目録」に従って
寄付 待合 ⇒廣間 濃茶 ⇒廣間 続き薄茶 ⇒番外とそのお箱が展示され、箱書きも拝見。
静かな展示室でじっくり拝見するにはちょうどの展示数かと。「これもええなぁ」と勝手に思いながら、茶道具ならではの伝来も読み取りながら、毎回茶道具の取合が楽しみです。キャプションも墨書です。
「展示目録」の「今回の展示について」から
・・・今回の展示「秋懐」は、深まりゆく秋と風炉の別れを惜しみ、ものさびた風趣とともにお茶をいただこうと企画してみました。
心から味わえるその時季は、二十四節気でいう霜降のころ(十月廿三日~十一月六日)で、しかも実際には、そのなかの僅かな数日でありましょう。・・・欠ケ風炉や中置きの点前座を中心にして、呼継ぎや不揃いのものなど普段出番が少ないものに出てもらって取り合わせが出来ればと念っています。どうかそのおつもりでご覧くださいませ。
展示を観る前にまずここに目を通しておけばと、
こちらの美術館でいつも持ち帰る「京都・今出川通の美術館だより」にも
「この季節の主役の一つは、何と云っても釜でしょう。
道也作の大振りのやつれ風炉を、寸松庵伝来の織部瓦の上に据え、
与次郎作の四方無地釜を組みます。不完全さを装うこのような取り合わせは、日本人ならの美意識と言えます。」
とあり、「なるほどねぇ」と納得することしきりです。
「茶の湯」「茶道具」の用語が分からず、今回も宿題を持ち帰りました。
「濃茶」建水 青銅「ルリスタン」と「薄茶」の替茶碗「くらわんか」。
他に私が「あれっ!」と感じたのは、
「薄茶」替茶碗「黄瀬戸胴紐 銘 唐衣」所謂「油揚手」で、茶碗では珍しいとのこと。
「番外」にあった「向付」の「道入作割山椒」 閑事庵所持 鴻池家伝来 そう目に留まったのはノンコウさん。と、「古清水透シ皿」元禄年製 やっぱり目に鮮やかなものに惹かれるのかもしれません。
北村美術館を後にして、「畠山記念館の名品」@京博の後期展示へ行ってきました。
書画は展示替があり、2Fにあった「伊賀花入 銘 からたち」の所に国宝 牧谿筆「煙寺晩鐘図」が掛かっておりました。「ホーッ!」これがぁ・・・と思いながらも残念ながら私には晩鐘は聴こえてこなかった。「伊賀花入 銘 からたち」は、1Fにお引越しして独立ケースで四方からその破格の造形を誇示!本阿弥光悦作「赤樂茶碗 銘 雪峯」は、図録のカバーにもなっている 本阿弥光悦書 俵屋宗達下絵「四季草花下絵古今集和歌巻」の展示されている「琳派」の展示室で独立ケースに展示されていました。
前期に来たときはそうも感じなかった1F展示の「やつれ風炉」と「尾垂釜」北村美術館で見たからこそ気づいた!図録にも
十月の中頃、冬の訪れを前に口切から使ってきた残り少ない古茶によって茶葉と秋の終わりを惜しむ茶事を「名残の茶事」と呼び、この際に取り合わされる侘びた道具のひとつがやつれ風炉である。・・・自然の損傷や修理によるやつれた姿を茶人たちは侘びた景色として珍重し、茶事に用いた。
とあり、この取り合わせで、即翁は、昭和18年11月の益田鈍翁追善の茶会で用い、茶碗は鈍翁との交友を物語る「柿の蔕茶碗 銘 毘沙門堂」と改めて知り、ストンと落ちる思いでした。
秋には、奈良や京都が近い関西に住んでて良かったなぁと思ういい展覧会巡りでした。
令和三年秋季茶道具取合展「秋懐」@北村美術館 12月5日まで 詳しくは⇒◆