思いがけない出会いに心躍る!オリュンピア✖ニッポン・ビジュツ@京博
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- by morinousagisan
この企画展は、昨年の東京オリンピック2020に合わせて企画されたものです。本来なら多くの外国人観光客に向けても、古代ギリシア世界の古代オリンピックと関連付けて日本の信仰風習や京博の名品を分かりやすく紹介する内容となっています。
京博の紹介文にも「本展は、多神教を奉じた古代ギリシア世界と日本の信仰風習とを対比させながら、当館収蔵の名品を楽しんでいただく企画です。」とあります。
京都国立博物館は、現在も東博や奈良博のように旧館(明治古都館)を常設展示に使えない状況にあります。そこで京博の膨大なコレクションが紹介されるのは、特別展の合間を縫った企画展の場合が多い。東博へは特別展だけでなく常設展を観るためにも出かけるではありませんか。それと同じ、京博の企画展では思いがけないお宝に遭遇することも少なくない。
昨年末コロナ禍で展覧会へ出かけられない日々が続き悶々としていた頃、若冲のお化け灯籠の絵「石灯籠図屏風」のチラシを頼りに久々の京都、京博に出かけた。そこで思いがけず俵屋宗達筆「蓮池水禽図」が現れ、ぐっとこみ上げてきました。思いがけないお宝に出会う、それが京博の「特別企画」です。
さて、今回の特別企画はホント「特別」でした。国宝、重文があらゆる分野から惜しげもなくドーンと展示されており、お宝ザクザクって感じでした。
タイトルにある「オリュンピア」を「オリンピック」と関連付けて、「えーっ」なんて思っておりますと、それは切り口にすぎないのです。
「日本の神々」として 滋賀近江八幡・日牟禮八幡宮「女神坐像」平安時代(12世紀)の木製の素朴な女性の神様の像から始まります。
神様のお使いとして描かれた動物たちの中には 狩野探幽筆「八尾狐図」江戸時代寛永14年(1637)このお狐様は、三代将軍家光の夢に狐が出てきたことから、それを探幽に描かせたもの、右上の日付は家光の自筆とのこと。
俵屋宗達画・本阿弥光悦書 重要文化財「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」の冒頭部分が目に留まりました。岩佐又兵衛筆「堀江物語絵巻」豊頬長頤の又兵衛の描く人々にニンマリしながらも、絵巻などはさわり部分だけでなくずらっと観たいところです。お馴染みの伊藤若冲筆重要文化財「果蔬涅槃図」や明恵上人の重要文化財「夢記」も。
伝島津斉彬所用「紫糸威鎧」がデーンと据えられ、鎌倉時代の金剛力士像では、阿形は後ろ向きに展示されて、筋骨隆々の背中を見せていました。
しかし、なんと言っても今回の特別企画でのお薦めは2F第2室の「古神宝」でした。
「古神宝」とは、京博HPから「擬人化された日本の神さまには住まいとして神社が建てられ、家財道具として神宝が調えられました。どちらも古くなると新調されました。古い神宝は神社から取り下げて、土に埋めたり、焼いたり、神社にゆかりの人々のあいだで分けたりしました。しかし、上等なものは神社の宝物として大切に保管されました。これを古神宝といいます。」この展示室1点を除きすべて国宝です。展示の品々は奉納者の願いも込めて神様のために作られた最高級品です。つまり使われたことがない代物。当時の公家たちの衣服は残っていないけれど、神様用は現在も当時の姿をとどめ、当時の染織の様相も伝えています。
これだけまとまって「古神宝」なるものを間近で見る貴重な機会となりました。
企画展となると観覧料もグッとお安い!特別展だけでなく、その合間の企画展示にも是非足を運びたい。思いがけない名品に出会うチャンスです。
・[特別企画] オリュンピア✖ニッポン・ビジュツ@京都国立博物館 平成知新館(1F・2F展示室) 詳しくは⇒◆