アレック・ソス 部屋についての部屋
東京都写真美術館|東京都
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「部屋」視点のソス展、ってナイス
ソス展。作品も良いが、丁寧で正攻法のキュレーションもまた良い。
各々の作品で映し出すシーンは特殊であったりサイケデリックだったり。白雪姫をコスプレする中年女性、連れ子6人を挟んだ若夫婦の結婚式、等々。
面白いことに、それらがシリーズとしてひとまとめになると、通底する普遍性が浮かび上がり、訴求してくる。不思議だ。見る者に、そうそう、うんうん、これこれ、といった共感を抱かせる。これは実にうまい。ソスの真骨頂だと思う。
こんな訴求力につながるのが、被写体との絶妙の距離感だろう。物理的にも関係性でも。
物理的な距離感は、ちょっと引き気味。スナップフォトでよく言う、寄って寄って、の逆である。また、関係性の面では、叙情性は極力抑制されている。但し、事実記録的・ジャーナリスティック、ではない。このバランスの妙が根底にある。
大判カメラで、この物理的ディスタンスを利してレンズはかなり絞り、でもビタビタ・キレキレの細密を出すほどには絞り上げず。このあたりの塩梅は絶妙なフィットで、実に綺麗だ。
色味・色彩コントロールも一役買っているように思う。おそらく相当に意識的に色構成しているのだろう。差し色であったり(グリーンが多い)画面全体の色調であったり、パターンは多様だがオハコの型はあるように感じる。
絶妙な距離感・関係性がソス作品の訴求力の要と思うにつけ、ソスと被写体との関係性は作品の空気感に素直に出ているように感じる。
やはり真骨頂は彼の原点のアメリカだ。彼のキャリアは、第1室・第2室の題材である生育地アメリカ中西部からスタートする。サイケでエキセントリックな被写体に正対して、普遍化・共感化のシグナルを発するが、これは即ちソス自身のまなざしがそうだからだ。そして、第5室〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉のシリーズで、一旦の完成形に達したように思う。
対照的に、さしずめ本展で東京滞在時の作品もあり、比較として興味深い。東京シリーズのシグナルは、異邦人としてのものであり、共感化の要素は乏しい。ここに、作家と被写体の関係性の文脈の違いがある。
ソスのこれから。最新作では中国に題材を広げている。叙情性を抑制しつつの共感性、という従来の「売り」は後退し、もっと緊張・異質・ざわざわ感・刺激性といった要素が増す方向だ。観る者の、更にはソス自身の、最終的な「心地よさ」を捨てるのか?
少なくとも第6室の最新作〈Advice for young Artists〉の情景には、心地よさは乏しい。この最新作に寄せて、ソス氏自身「アドバイスもなければ、決まった道もない。ただ自分自身で道を切り開くしかないのです」と述べている。後進への言葉を借りて、自らにチャレンジを課しているようだ。
展示会場入口で配布される当館小冊子「eyes」に6頁分のソス氏インタビュー記事があり、面白い。
2階のギャラリーショップにはソスの出版写真集が並べらていて、展示用冊子で中を見れ、ありがたい。(初期作〈Niagara〉も見たかったが無かった)
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