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茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

茶の湯の美学 ―利休・織部・遠州の茶道具―

三井記念美術館|東京都

開催期間:

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三者の感性、美意識と、激動期の歴史に触れる

桃山時代から江戸時代初期、現代へとつながる茶の湯の原型がなされたこの時期に活躍し、茶の湯界をリードした三偉人の、好みを整理して、千利休の「わび・さびの美」、古田織部の「破格の美」、小堀遠州「綺麗さび」と言うキーワードで捉え、それを感じられる作品や資料を展覧しています。また、利休=織田信長、織部=豊臣秀吉、遠州=徳川家康と、3英傑の時代とも対応しています。唐物中心から和を積極的に取り入れていく流れ、南蛮文化や朝鮮出兵による朝鮮文化の流入による激変、徳川幕府が目指す安定と、茶の湯文化の変遷が、当時の社会の変化と密接に関係していたことを、三井家伝来の茶道具の名品・優品を通じて知ろうとするもの、だそうです。
茶道には全く疎く、お道具類のこともよく分からない私ですが、焼き物や漆芸等は好きですし、昔の歴女として、この時代の美意識にはとても興味もあり、訪れることにしました。
会場の冒頭、シックで高級感に包まれた第一展示室では、「利休・織部・遠州の美意識」ということで、3人の美意識を考える上で最も重要な、流石の、と言いたい名品・優品が展示されていました。コレクション展ですから冒頭に展示されている代表的な品はもちろん、初めて観るものではないのですが、作品そのものもですが、銘の由来を楽しめました。重文《黒楽茶碗 銘 俊寛》長次郎作/桃山時代は、利休が薩摩の門人に長次郎の茶碗を3碗送ったところ、この茶碗以外が送り返されて来たため、『平家物語』で鬼界ヶ島にひとり残された俊寛上人にちなんで命銘された、とか。何故か昔見た絵本の俊寛の表情が、頭に浮かびました。ともあれ、ひたすらに美しい黒でした。続いては「へうげもの」古田織部所持と、形が大きく歪んでいたので、十文字に割って小さくしたという、織部らしいエピソードとともにと伝わる《大井戸茶碗 銘 須弥 別銘 十文字》朝鮮時代。はっきり言ってあり得ないでしょう。私は背が低く、椀の上からの姿を観ることが出来ません。真上からと裏からの写真を以前に観たことを思い出しつつ、ここにも鏡や写真が欲しいと思いました。そして、「綺麗さび」の小堀遠州は、遠州高取焼の代表作、腰に幅広の面取りがある《高取面取茶碗》でした。やや薄作の半筒形で、胴張りになり、腰の面取り以下は土見で、素地は白い細臓な漉し土で、光沢のない黄茶がかった鉄釉が、総体に厚めにかかり、濃淡のなだれやムラが自然に生じて、とても風情があります。全体に洗練され整斉した作風で、気品もあり、いかにも遠州好みそのものかもしれませんが、やや技巧がかり、「佗び」「寂び」という感覚からはちょっと遠い感じもする作ではあります。昨秋五島美術館の『古伊賀 破格のやきもの』展で観た《伊賀耳付花入 銘 業平》や《伊賀耳付水指 銘 閑居》桃山時代、もありました。正面と裏側の景色が違っていて、ぐるりと観られるのがいいですね。第2展示室は例によってお馴染み指定席、国宝の《志野茶碗 銘卯花墻 桃山時代》でした。銘は、胴に描いた鉄絵紋様を卯の花の咲く培にみたてて、片桐石州が命名したといわれています。箱蓋の色紙貼り「やまざとのうのはながきのなかつみち ゆきふみわけしこゝちこそすれ」の一首がいかにもの風情です。こちらはもう何度も何度も三井記念美術館さんでお目にかかっています。絶妙に表れた火色の素地の美しさは格別。それでありながら本体を歎づかみにして、志野釉にずぽりとつけ引き上げた、つかんだ指あとが、ありありと残る豪快と言うか潔いというか、好きですね。 
第4展示室は「千利休の美意識=わび・さびの美」で、こちらの展示室のみ撮影可エリアです(第1・2展示室、有楽斎の茶室と第5・第6展示室は撮影不可)。秀吉・秀次の8年間だけ存在した幻の城「聚楽第」を描いた「聚楽第図屏風」(桃山時代)などが並びます。千利休は聚楽第の城下にあった屋敷で自刃したとされていますね。重文の《唐物肩衝茶入(北野)》南宋時代、もありました。《青磁筒花入》豊臣秀吉所持 南宋時代、《古胴桃底花入》伝千利休所持13~15世紀、など注目しました。茶道具に軸に諸資料と、利休以前から利休時代、利休以後へと、歴史と茶の湯と武家の美意識が、自然にシンクロする展示構成になっていました。
織部は少し前のサントリー美術館さんの展示の復習のように観ました。小堀遠州は、やはりグッと親近感でした。《竹二重切花入 銘 白菊》小堀遠州作 江戸時代、何故か私はこれをうつしたというよりただ似せた、全く現在の花入れを持っています(笑)。 
館蔵品のみでこれだけ充実した茶の湯の展覧会ができるのも、「三井家が300年以上にわたり文化財の収集・保管を継続してきたから」と、学芸部長さんの談がありましたが、ホント、同館コレクションの深みと厚みを感じ、日本の美意識の流れも感じられる、落ち着いたとても良い展覧会でした。平日の午後、会期終盤でしたが、全く混雑はありませんでした。

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