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東山魁夷と風景画の旅:日本から世界へ

東山魁夷と風景画の旅:日本から世界へ

福田美術館|京都府

開催期間:

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春節の観光客が溢れる喧騒の嵐山をよそに静寂の東山魁夷の風景画

岡崎公園からバス乗り換えなしで嵐山まで行く事が出来るのを知りました。50分近くかかります。車窓から京都の街を眺めながら東山の端から西の端まで、嵐山への狭い道を左に曲がってメイン通りに入るともうもう歩道から人が溢れ、噂に聞いてはいましたが、嵯峨野線山陰線の踏切の中でピースして写真撮っている観光客を目にしました。残念です。

本展は、福田美術館所蔵の東山魁夷全作品を一挙公開です。東山魁夷を冠する展覧会は小さな企画展であってもいつも人気で、東山魁夷ファンが多いことを実感します。

関西で云えば2018年夏に京都国立近代美術館で『生誕110年 東山魁夷展 本当の「あお」に出会う』が開催され、「唐招提寺御影堂障壁画」が再現展示されました。戦後、昭和の「国民的風景画家」と言われる東山魁夷、静謐な「東山ブルー」が昭和人の琴線に触れてきたのでしょう。昨年観た石崎光瑤や奥村厚一も居ましたけれど、10年もの歳月をかけて「唐招提寺御影堂障壁画」を描いたことはとても大きな業績となり、東山魁夷を「国民的画家」に押し上げたと思います。長生きで、東山魁夷の名を入れた美術館も少なくなく、また美術館の所蔵やコレクターも多い。京近美での展覧会では、川端康成から急速に失われつつあるかつての古都・京都の姿を画面に描きとめるように勧められて描いた「京洛四季」シリーズとその後ドイツ、オーストリアの古都を描いたシリーズも多く展示され、絶妙なトリミングが冴えて好きな作品群でした。

私は見ていないのですが、福田美術館では、2023年に「日本画革命 ~魁夷・又造ら近代日本画の旗手」を開催して、その際に新規収蔵した美術収集家山本憲治氏旧蔵約200点のお披露目展を開催していました。本展展示の福田美術館蔵の東山魁夷作品はその山本憲治旧蔵作品でした。一括入手されたのでしょう。

第1章は日本画における風景画の変遷を所蔵品から辿るようになっています。室町時代の伝雪舟の山水画から文人画の池大雅や19世紀の谷文晁を見て、木挽町狩野派で学び明治維新を迎えた狩野芳崖と橋本雅邦。橋本雅邦のいる東京美術学校へ入学した大観、春草。天心の教えを受け日本画の線を捨てて描いた「朦朧派」の二人の風景画も展示。春草の波の表現はモネの点描の様でした。京都画壇からは栖鳳と春挙。春挙の水面の透明感の表現に惹き寄せられてしまいました。面白く思ったのは、水彩画で有名だったらしい丸山晩霞。遠くの山は空気遠近法で描いてる?本展私の一押しは下村観山の墨の濃淡で表現した霧に煙る倫敦を描いた作品です。

今はもう馴染みのある「魁夷」という号ですが、作家ご本人の温和そうな風貌からしても厳つい号です。「東山」というおとなしい姓に対して、力強い雅号が欲しかったためと言われています。その辺りに内に秘めた強さも伝わります。
幼い時より学業優秀、勉強家の東山は、東京美術学校ではずっと特待生でした。卒業後ドイツへ留学し西洋美術史を学び、西洋通の若き日本画家でしたが、国内で画壇に自分の場を築いていた同期の画家たちには遅れをとったようなに感じていたのかもしれません。戦後妻以外の身寄りもなくなり、全てを失って、どん底を経験しましたが、柵は何もなく無心から描けるようになり新たな一歩を踏み出しました。

第2展示室には東山魁夷作品はほぼ時系列に展示され、それを追っていくと段々私たちが知る東山魁夷へ洗練されてきます。

パノラマギャラリーにも魁夷晩年の作品が2点展示され、1991年の《緑の朝》そう確かに魁夷の白い馬が居ても不思議ではない。解説には真ん中あたりに白馬を描きかけた形跡が見られるとありました。
京近美の展覧会の折に『東山の風景画の中に現れる「白馬」ですが、この白馬が描かれたのは、東山が障壁画制作にあたった昭和47(1972)年1年間しか描かれていないモチーフだそうで、鑑真和上に捧げる障壁画に相応しい風景を模索する東山に舞い降りた「白馬」だったようです。東山は「白馬は自分の祈りの現れ」と語っているようです。』と書いておりました。その白馬が晩年になってまた魁夷さんの元に再来したのかもしれません。
写真撮影は不可でしたが、同時代のカラリストたちとして展示されていた中村岳稜が気になりました。またどこかでまとめて観たいものです。

若い方には、日本画家 東山魁夷をご存じない方もいらっしゃると聞いてもうもうびっくりです。会田誠さんの『あぜ道』の着想元となった絵を描いた人とお伝えしておきましょう。

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