浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」
奈良国立博物館|奈良県
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南山城の古寺の諸仏、神像、お宝を訪ね歩く
この地にはこんなにもたくさんの寺があり、多様な諸仏がいらしたのか。
展覧会タイトルにある「浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念」、浄瑠璃寺の九体仏が360度間近で拝見できる機会に惹かれて出かけたのですが、それだけの展覧会ではなかったです。さすが、奈良博やなぁ。担当研究員は私の中で強く印象に残っている「快慶展」も担当された山口主任研究員、「聖徳太子と法隆寺」も担当された研究員です。
関東の方には「南山城」の地理的なイメージが浮かぶでしょうか。関西に住んでいてもなかなかイメージしがたく、新しくできたJR東西線の先、JR学研都市線にある?奈良に近いが、京都の南部で京都と奈良を繋ぐ要所であったのです。本展チラシにも「平城京から平安京への遷都以降も南山城は新旧両都をつなぐ回廊的な役割を果たす地域として、重要性を増すことになります。・・・南山城は各時代を通じて文字どおり日本仏教の聖地であり続けました。」南山城が歴史の表舞台に登場したのは、なんと聖武天皇の恭仁京造営だそうで、この地に短い期間ではあるものの都がおかれていた。日本史に弱い私には、まさに「へぇー」な展覧会の始まりでした。ここから古寺、諸仏を辿りながら歴史にそって南山城古寺巡礼をするように展示場を歩きました。
私が『真言律宗 小田原山 浄瑠璃寺』へ伺ったのはちょうど10年前で、こういう時ブログが残っているとあの時の思いが甦ります。九体仏の1体1体の間には柱があり、更には堂前に板扉があり、この板扉の内の障子が全部開けられて反対側から映された映像か写真を見た記憶があり、それを思い出かけたのでした。
浄瑠璃寺の阿弥陀如来坐像がお目当てだったのですが、お堂内で向き合った時ほどの大きさは迫ってこず、そこが博物館での展示品ということなのでしょうか。
本展にお出ましの諸仏の多様なことに驚き、そうそう一堂には拝見出来ないものばかりで、そこここで足が止まるのです。
例えば
寿宝寺の降三世王立像の踵落としされても平然として座っている坐像はなんなん?その下にも人みたいなのがが横たわってる!
神童寺の愛染明王像は、天に向かって矢を射ている坐像です。
行きたいと願いながらもまだ伺えていない海住山寺の四天王像、彩色がしっかり残っており、造形技術、日本の彫刻は鎌倉時代が頂点と美術家が語っていた言葉がよぎります。物凄い迫力。
元は浄瑠璃寺にあった十二神将が約140年ぶりに里帰りして、本展前期展示では本尊の薬師如来と再会を果たしたそうです。10年前も一緒に浄瑠璃寺へ出かけた連れ、いつもちょっと違った視点から攻めてくる「頭の上に12の干支が載ってるけど、未は載ってる?髪形がまるで羊毛みたいやけど」との感想にほーっと見返します。
本展の仏像大使にみうらじゅんさんといとうせいこうさんが就任してトークショーも開催されたようで、チケットは即完売。東京展でも開催されるのではないでしょうか。
奈良博の期間中には、奈良博を出発地とした「現地ガイドと巡る 南山城古寺巡礼ツアー」のチラシもありました。
奈良博で配布中の「鑑賞ワークシート」はなかなかの優れモノで、見開きの「南山城の宝マップ」は地理的位置関係が把握できます。
展覧会へお出かけ前の予習として、公式HP「見どころ」の「みどころ」と「展覧会構成」YouTubeはお薦めです。
奈良は7割が外国人観光客な印象です。南山城ならまだ大丈夫かもとの淡い期待を持ちながら、巨大な摩崖仏にも出会いたい、少しずつ出かけたい南山城古都巡礼。
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- BY morinousagisan