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日伊国交160周年記念 大阪・関西万博開催記念 特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」

日伊国交160周年記念 大阪・関西万博開催記念 特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」

大阪市立美術館|大阪府

開催期間:

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発売翌日にはチケット完売!人気の秘密は何? 特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」@大阪市立美術館

私は人混みと暑さが大の苦手で万博に行っていません。
カラヴァッジョ《キリストの埋葬》は、現地で見るよりも近くで観る事が出来たとの観てきた方の感想も伺いましたが、それでもイタリア館の予約は早くにほぼ埋まっているとも聞いていました。山田五郎さんが『山田五郎 オトナの教養講座』で「万博が終わってどこかの美術館で展示してくれるなら観に行きたいよ」とお話になっていて「本当になぁ」と思っておりましたところ、それが実現するとは。
本展は、チケット発売の翌日お昼には会期末までのチケットは完売してしまいました。今後の対応については、大阪市立美術館HPや展覧会公式サイトSNSをご確認ください。
カラヴァッジョ《キリストの埋葬》は、2021年春国立新美術館で展示予定でしたが、コロナ禍で中止となったのでした。万博が終了し、この作品はイタリアへ帰っていきました。観たかったです、カラヴァッジョ《キリストの埋葬》!
本展覧会監修は、神戸大学教授 宮下規久朗先生です。

【神話と宇宙】《ファルネーゼのアトラス》西暦2世紀 大理石 高さ193㎝、直径102㎝、重さ2t ナポリ国立考古学博物館
いざ、展覧会場へ。扉の向こうに大きな大理石像、その背景にはイタリアを紹介する映像が流れています。導入部ですでに圧倒される。イタリア館を訪れたことのある方は、この映像が流れていてバーンと扉が開くとそこに《ファルネーゼのアトラス》があって、イタリア館での感動が甦ったとお話になっていました。
筋骨隆々のギリシア神話の巨神アトラスは両膝を曲げて重い天球儀を両手で右肩に担いでいます。顔の表情もちょっと「重いよ!」と吐いているようです。それもそのはず、ギリシア神話の中でアトラスはオリュンポスの神々との戦いに敗れてゼウスから天空を支えるという罰を課せられたのでした。天球儀を担ぐ肩から背中にはひだひだのカーテンの様な、ローマ人が羽織っているマントの様な布が足元まで垂れています。前は裸なのに。
この大理石像は、ローマ人による所謂「ローマンコピー」で、1546年頃ローマのカラカラ浴場跡で発掘され、その当初は手足と顔の一部分がなかったそうです。1562年アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿のときにファルネーゼコレクションに加わりました。ルネサンス期に欠けていた部分が補われ現在のような形になりました。他に複製はなく唯一の作品です。
この大理石像が担ぐ天球儀は、最古の天球儀と言われています。古代ギリシアの天文学者プトレマイオスが著した『アルマゲスト(天文学大全)』に記された48の星座のうち42の星座が克明に浮彫され、その星座の形や位置関係は正確だそうです。星座についての解説は、大阪市立科学博物館が担当されています。
《ファルネーゼのヘラクレス》と共に古来より名高い彫刻で、1786年に現在のナポリ国立考古学博物館へ移されて、一般公開されています。「古代の神話と宇宙観を視覚化した人類の至宝」と宮下先生のコメントがありました。

宮下先生に習う「ルネサンス(Renaissance)概略:15世紀のイタリアで始まりました。神の支配を中心とした中世から、人間の理性と個性を重んじる時代への転換点。美術の分野では、遠近法や明暗法が発達し、自然を人間の目から見たリアルな姿として描く技法が確立しました。「知と創造の力によって世界を再び照らした『再生の時代』でした」

【信仰の交流】ピエトロ・ヴァンヌッチ(通称ペルジーノ)(1450-1523) 《正義の旗―聖フランチェスコ、シエナの聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の会員たちのいる聖母子と天使》1496年 油彩、カンヴァス 218×140cm ウンブリア国立美術館(ペルージャ)

ペルージャのサン・ベルナルディーノ兄弟会(のちの「正義兄弟会」)の依頼によって制作された作品です。そもそも「兄弟会って何?」中世から近世にヨーロッパ各地で設立された「信仰心を共有する人々が集う世俗の宗教団体」と説明されています。《正義の旗》とあるのは、地域や同業者同士の助け合いを目的として、宗教行列の時に旗(ゴンファローネ)を掲げて街を練り歩き祈りを捧げたからだそうです。日本のお祭りのお練り行列の様な感じでしょうか。
画家ピエトロ・ヴァンヌッチ(通称ペルジーノ)は、ラファエロの師で、レオナルド・ダ・ヴィンチの兄弟子にあたるそうです。ペルージャを拠点に活躍したのでペルージャの人を意味する「ペルジーノ」の通称が知られています。15世紀末のイタリアでは『神のごとき画家』として人気の高い画家の一人でした。
画面上部は、聖母子と天使の天上世界です。この部分の聖母子と二人の天使を描いた《聖母子とに天使 笞打ち苦行者信心会の会員たち》(ウンブリア国立美術館蔵)というペルジーノ作品もあります。聖母子を見上げている二人、左は13世紀の聖人のアッシジの聖フランチェスコ、右は15世紀のフランシスコ会士シエナの聖ベルナルディーノだそうです。(作品タイトルにあります)二人ともに兄弟会の守護聖人だそうです。その後方に祈りを捧げる兄弟会の会員たちが描かれていると説明されていますが、両端の被り物をした人たちはなんなのでしょう。背景に描かれる当時のペルージャの街並みは、現在もあまり変わってないそうで正確に描かれています。大きな天使とまるっこい5人の小さな天使が描かれていますが、小さい天使の方がより高位なのだそうです。中央真正面の天使、羽や足はどうなっている?
宮下先生はこの《正義の旗》を「天井の信仰と地上の人間がひとつにつながる瞬間を描き出した『祈りの絵画』」とコメントされています。

本展は「日伊国交160周年記念」ともなっており、万博イタリア館ではドメニコ・ティントレット作《伊藤マンショの肖像》1585年 トリプルツィオ財団蔵が展示されました。本展では、その肖像画の調査結果を映像で紹介し、複製画を展示します。この本画は、2017年神戸市立博物館で開催された「遥かなるルネサンス 天正遣欧少年使節がたどった道」で展示され、私は見たことがありまあす。その後「天正少年使節団」について、若桑みどり先生の『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国』を読み、本のタイトルからはまさかの内容だった、若桑先生のご著書を種本とした原田マハさん著『風神雷神』も読みました。最近山田五郎さんの『山田五郎 オトナの教養講座』でも取り上げられたのでご興味ある方はそちらもご視聴ください。この肖像画は、油彩で日本人が描かれた最初の肖像画です。それも描いたのがティントレットだなんて!天正少年使節は、最初にコンクラーベの結果あがる煙を現地で体験した日本人ですね。次々と歴史や作品が繋がり興味が尽きない。

【英知と創造】
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)  『アトランティコ手稿』第156紙葉 表 《水を汲み上げ、ネジを切る装置》1480-1482年頃 紙にペン、インク、水彩 255×210 mm  アンブロジアーナ図書館(ミラノ)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519) 『アトランティコ手稿』第1112紙葉 表 《巻き上げ機と油圧ポンプ》1478年頃 紙にペン、インク 203×286mm  アンブロジアーナ図書館(ミラノ)
ミラノのアンブロジアーナ図書館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチ自筆の『アトランティコ手稿』1119枚には、数学、幾何学、天文学、動植物学、物理学、建築学、土木、軍事技術などについての考察や素描が記され、まさに「万能の天才」です。展示の2葉は、「水の都」大阪に因んで選ばれた水に関連する手稿です。 『アトランティコ手稿』は、1637年アンブロジアーナ図書館へ寄贈されて評価や研究され、19世紀になって広く知られるようになったそうです。
手稿に記された文字は、草書体の「鏡文字」で書かれています。「鏡文字」は、自分の発想を他人に盗まれないためとも言われています。ダ・ヴィンチは、左利きで、普通に文字をかくとインクが擦れたり滲んだりします。ダ・ヴィンチは、私生児と伝わり正規な教育を受けていなかったので右利きへ直される機会がなかったとも伝わります。右から左へ書かれた「鏡文字」を裏返すと左から右へと読む事が出来ます。
実は漫ろに思い浮かぶことをさらさと図を描き、裏返してその発想を文字でメモ書きした・・・とかも考えられそうですが。さてさて真相はいかに。
近くで視る事が出来たので、ダ・ヴィンチが引いた1線、1線、この時間が貴重なような愛おしいような。
この『アトランティコ手稿』を所蔵するミラノのアンブロジアーナ図書館は、フェデリーコ・ボッローメオ枢機卿によって1607年に設立されたヨーロッパで一般公開されている最古の図書館です。約100万冊の蔵書、36000点の写本、12000点の点描、20000点の版画を所有します。
「『アトランティコ手稿』は、レオナルドが『芸術と科学を統合した知の創造者』として傑出した存在であることを証明する英知の結晶と言えるでしょう」と宮下先生はコメントされています。

ギリシア・ローマからルネサンスのイタリアの歴史を体感した展覧会でした。
4作品でこのお値段なのかと思っておりましたが、作品が持つ力が大きく、作品数が少ないと1作品ずつじっくり隅々まで見る、観る、視ることとなりました。ダ・ヴィンチ作品も含めて全ての作品が撮影可です。作品ごとの展示室も背景の壁面の色を違え、作品、パネル解説、映像の展示空間となっていて、万博仕様だったのでしょうか。分かり易かったです。
監修の宮下先生は、イタリア美術関連以外でも美術関係の著作は多いですが、私の中ではカラヴァッジョと言えば宮下先生です。チケットがなくても、一般向けの宮下先生の講演会を開催して下さったらとも思わぬではありません。
万博を無料招待するなら、この展覧会にも小中学生を招待して、作品を観た子どもたちがどう感じたのか知りたかったです。

#大阪市立美術館 #天空のアトラス #PR #レオナルド・ダ・ヴィンチ #アトランティコ手稿

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