春の訪れ-梅と桜-
大和文華館|奈良県
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梅と桜をめぐるエトセトラ
しばしの休館を経て始まった展覧会のテーマは「梅と桜」です。
今年の冬は寒くて梅の開花も遅れています。大和文華館のお庭「文華苑」の梅園も見ごろになって来たと知り出かけてきました。
梅と桜をモチーフにした東アジアの絵画と工芸が主に展示されています。
梅ならば、林和靖や「歳寒三友」、吉祥画の「四君子」が思い浮かびます。菅原道真もそうでした。梅は枝ぶりがゴツゴツとしていて画題としても映えます。
桜は、日本に古来より野生種があり、身近にありましたが、国風文化が花開いた平安時代の頃より桜を殊の外愛でられるようになったようです。『古今和歌集』には桜を詠ったものが最も多いそう。桜の開花が報じられるのは、日本人ならでしょう。潔く散っていく姿にも風情を感じてしまう私たちです。
本展では書籍が特に面白く興味深く見ました。アートに親しむなら、西洋ならキリスト教とギリシアローマやアーサー王物語などの英雄物語や西洋史の知識があれば更に楽しめる。東洋の美術については、東洋史と共に、中国や日本の典籍に通じていれば・・・とよく思います。授業としては面白くないけれど、内容を知れば面白いはずの漢文や古典の授業が悔やまれます。それは「源氏物語」や「伊勢物語」の場面がモチーフとなった作品が多いことからもわかります。本展でも勿論「源氏物語」をモチーフとしたものも展示され、六条院の蹴鞠の催しに訪れた柏木が、唐猫が飛び出して隙間が出来た御簾の奥にいる女三宮の姿を垣間見てしまう「若菜」の場面はもう紫式部流石だわぁと思うのでした。『徒然草』では、兼好は「花は盛りにつきは隈なきを見るものかは」はかつての日本人の美意識を表現しています。山桜を特に愛した本居宣長『玉勝間』を展示し、桜を日本を代表する花というだけでなく、日本の心の象徴と紹介されていました。最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』で最も多く詠まれたのは桜で桜を詠った和歌が収められているところが展示されていました。日本最古の歌集『万葉集』で花を詠んだ歌の中でもっとも多く取り上げられたのが、なんと“萩”だそうです。二番目が梅で、桜を詠んだものの2倍以上に多くて飛鳥、奈良時代においては「花」と言えば「梅」であったことが分かります。展示されているのは大伴旅人主催の梅花の宴で詠まれた32首の序として記された箇所で元号「令和」の典拠となったところでした。
本展はすべて館蔵品で写真撮影OKでした。大和文華館は、ほぼ全ての展示作品に解説があり、用語解説もあります。平易な文での解説はとてもありがたく、解説を写真におさめておりましたので、それを鑑賞レポートに書きました。よってこのレポートの典拠は本展ご担当の宮崎もも学芸員の解説にあります。解説を読みながらへぇーの連続でした。
3/23(日)には、宮﨑さんの「梅と桜をめぐる文学と絵画」の日曜講座、毎週土曜日には列品解説も行われています。
大和文華館の本館前の福島県三春町の「三春滝桜」の子孫にあたる枝垂れ桜は見事という形容しか言い表せない。特別展でないので、観覧料はナント630円!駐車場は無料!
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづごころなく 花の散るらむ
の季節ももうすぐですね。
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- BY morinousagisan