
黒い美術(ART)
逸翁美術館|大阪府
開催期間: ~
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日本美術の中の黒をテーマにした面白い企画展です
暑い夏、寒い冬とだんだんと外に出るのが億劫になって、それだけでなく何事も億劫で面倒になりがち、年初めから「震災30年」と目にし耳にすることが多く心も沈みがちでした。
そんな中光悦の茶わんがお目当てに出かける事にしました。
「黒の美術」ということで、漆黒という言葉もある様に漆の黒は、精製の過程で鉄を加えることによる化学反応から出来るそうです。真塗の漆黒の美しさは際立ちます。利休の茶の湯の厳しさも伝えている様に思います。在判銘がある黒棗大中小、大棗、中次、尻膨(膨)、黒棗と蒔絵を並べて、蒔絵の繊細な技法にも魅入られました。盛阿弥の《黒地丸盆》シンプルな丸い小さなお盆なのにこれほどに美しいとは。
書跡、墨は煤と膠の配合で決まるそうです。運筆の先にある、墨の濃淡、かすれ滲みに書画の魅力があるようです。三筆、三蹟、流麗な文字の流れと配置、墨蹟の力強さ、癖のある定家様と奥深いわー。
画は、蕪村、若冲、芦雪・・・抱一《水月図》画は、淡墨で佩いたような水紋と月を描き、その表装は艶やかな描表装でその対比がとても面白かったです。蕭白大好きなので毒々しい彩色画とは全く違った山水画と呉春が私には特に良かったです。呉春は大和文華館で新しい面を知ったばかりで、逸翁さんの次回展示「四条派ですが、実はー詩情派。呉春」も楽しみです。
松岡映丘筆《白描枕草子絵巻》「枕草子絵巻」を模写したものらしい。白描はごまかしがきかない、スーっと線を引くにしても描くときには息を止めていたのではないかと思うほどに緊張感があり、見る方も息をひそめて覗き込む。口元には僅かに紅が打たれています。墨線だけの白描は、高い力量のある画家でないと。
やきものにおける黒、元々の土に黒い成分が含まれているか、鉄分を含んだ釉薬を掛けるか。「引き出し黒」というのがあり、1200度で焼成して、窯から引き出して急速に冷ますと濃い黒に出来上がり、瀬戸黒や織部黒があるそうです。黒い茶わんと言えば、樂焼で初代長次郎から代々の茶わんが並んでおりました。手ひねりの黒い茶わん。その中で手すさびの光悦とモダンなノンコウ。樂家代々のご当主は、一子相伝、見て覚えるとか。当代は初代長次郎に帰りながらその時代の「今焼」に苦心したんでしょう。と思いながら拝見しました。
珍しく土曜日に伺い、マグノリアホールで元?宝塚の方のコンサートが開催され、往年のヅカファンがお出でになってなかなか賑やかでしたが、展示室はしーんと黒の美術と向かい合う方々ばかり、若い方も多かったです。
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- BY morinousagisan