4.0
新しい発見
本展に足を運ぶことになった時、下調べもせず、正直あまり期待もしていなかった。少し前に訪れた大阪市立美術館の「メトロポリタン美術館展」に出品されていたルノアール、モネ、ゴッホ等の印象派の画家が共通していることもあり、類似する内容かと思い込んでの会場入りとなった。
しかし、早々にその軽い思いは覆されることになろうとは。今回は「光の系譜」と題され、光がテーマになっているのだが、まずコローの作品に出迎えられ、その存在感に圧倒される。そびえ立つ木々の陰影、それに対峙する天上の明るさ、光。何度も塗り込まれている複雑な空の色味に見入ってしまった。
他も個人的に大好きなモネ、一連の蓮の絵は数えきれない位、目にしているが、本展では光に重きを置かれていることもあり、今まで見たことのない、ユニークな作品に感じられた。
ゴッホの作品も「ひまわり」を彷彿とさせる色彩で、やはり人の心を惹き付け、素晴らしかった。
そのような数々のビッグネームの中にあり、ひときわ異彩を放っていたのが、レッサーユリィの「夜のポツダム広場」である。
前述の投稿者の方も書いておられたが、当方も何の知識も持ち合わせず、作品を目の前にして狼狽えてしまった。
後で調べ、ネット上でも評価が高く、話題になっていることを知り、至極納得した。
近くに寄って見ると、失礼ながら割とラフな筆致に見えるが、離れてみると陰鬱そうな夜の街、その濡れた石畳に灯りが映り込むというヨーロッパ独特の世界を見事に描いてみせていた。
ナチの弾圧を受けながら大変な時代を生きた、興味をかきたてられるアーティストである。また、是非、他の作品にも触れてみたいと思った。