3.0
展示構成も実験的
新しい建築の考え方を広めたコルビュジエのヴィラ・ル・ラクから始まるのがとても良かった。
1920年から名建築家の名建築を紹介しながら、どのようなアイディアで新しい住まいのデザインを探求してきたのか、とてもわかりやすい展示だった。
撮影可能マークが付いたもののみ撮影可となっていて、それがわかりづらいのか監視員が声をかけている光景がそこかしこで見られたため、提示方法は改善が必要ではないかと思った。
会場を自由に行き来する構成はとても新鮮で実験的であった。
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1920年代以降、ル・コルビュジエ(1887–1965年)やルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(1886–1969年)といった多くの建築家が、時代とともに普及した新たな技術を用いて、機能的で快適な住まいを探求しました。その実験的なヴィジョンと革新的なアイデアは、やがて日常へと波及し、人々の暮らしを大きく変えていきました。本展覧会は、当代の暮らしを根本から問い直し、快適性や機能性、そして芸術性の向上を目指した建築家たちが設計した、戸建ての住宅を紹介するものです。
1920年代から70年代にかけて建てられたそれらのモダン・ハウスは、国際的に隆盛したモダニズム建築の造形に呼応しつつも、時代や地域、気候風土、社会とも密接につながり、家族の属性や住まい手の個性をも色濃く反映しています。理想の生活を追い求めた建築家たちによる暮らしの革新は、それぞれの住宅に固有の文脈と切り離せない関係にあるのです。
一方、それらの住宅は、近代において浮上してきた普遍的な課題を解決するものでもありました。身体を清潔に保つための衛生設備、光や風を取り込む開放的なガラス窓、家事労働を軽減するキッチン、暮らしを彩る椅子や照明などの調度、そして住まいに取り込まれた豊かなランドスケープは、20世紀に入り、住宅建築のあり方を決定づける重要な要素となったのです。そして、こうした新しい住まいのイメージは、住宅展示や雑誌などを通じて視覚的に流布していきました。
今から100年ほど前、実験的な試みとして始まった住まいのモダニティは、人々の日常へと浸透し、今なお、かたちを変えて息づいています。本展覧会は、今日の私たちの暮らしそのものを見つめ直す機会にもなるでしょう。
| 会期 | 2025年3月19日(水)~2025年6月30日(月) |
|---|---|
| 会場 |
国立新美術館
|
| 展示室 | 企画展示室1E、企画展示室2E |
| 住所 | 東京都港区六本木7-22-2 |
| 時間 |
|
| 休館日 |
火曜日、5月7日(水) ※ただし4月29日(火・祝)と5月6日(火・祝)は開館 |
| 観覧料 | 一般 1,800円 大学生 1,000円 高校生 500円
|
| TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
| URL | https://living-modernity.jp/ |
3.0
新しい建築の考え方を広めたコルビュジエのヴィラ・ル・ラクから始まるのがとても良かった。
1920年から名建築家の名建築を紹介しながら、どのようなアイディアで新しい住まいのデザインを探求してきたのか、とてもわかりやすい展示だった。
撮影可能マークが付いたもののみ撮影可となっていて、それがわかりづらいのか監視員が声をかけている光景がそこかしこで見られたため、提示方法は改善が必要ではないかと思った。
会場を自由に行き来する構成はとても新鮮で実験的であった。
4.0
本展は、20世紀に活躍した著名な建築家たちが追求した住まいの在り方―「快適さ」「機能性」「芸術性」―をテーマに、住宅建築における多彩な実験や試行錯誤の過程を、1. 衛生 2. 素材 3. 窓 4. キッチン 5. 調度 6. メディア 7. ランドスケープ の7つの視点から、写真・図面・パース・模型に、雑誌や映像などを使い、また家具などは実物も展示しつつ、具体例を通して分かりやすく、丁寧に紹介しています。入場すると最初に、ル・コルビュジェの『ヴィラ・ル・ラク』にある有名な水平連続窓を模した巨大な窓があり、そこから中の展示空間全体が見渡せるようになっていました。憎すぎる演出です。で、もう、見応え満点。夢のような空間なのでした。ただ、導線の決まりはなく、仕切りもほとんどない広い空間のあちこちに、不定形なコーナーがあたかも輪中地帯の如くに点在する感じにつくられていて、それを自由に廻る、という展示形式でした。ですから、計画的に見進めることが結構難しくて、つい、ひとところに夢中になって疲れるほど時間をかけて見てしまったりして、結果後半は見ていない場所を確認しつつで、なんとなく軽く見る感じになってしまいました。これでも私は一応、ネットで資料を読み込んでから出かけたのですが‥。2Fにはだれでも入れるフリースペースがあり、8mもある天井高を利用して、ミース・ファン・デル・ローエ構想(未完)の《ロー・ハウス》原寸大展示(ミースの理念を再現するためにクラウドファンディングによる資金調達がされて実現したとのこと)と、ミースデザインの椅子等も展示され、照明の色変化で一日の光の移ろいまでも体験できるというコーナーがありました。さらに次のコーナーでは展示された名作や最新デザインの椅子など、コンセプトの紹介だけでなく実際に座ってみたり出来るようになっていて、とてもありがたかったです。建築家たちが挑んだ革新の数々を、展示を通して追体験しながらの、あっという間の2時間でした。
私は会期も終盤の、平日午前に行きました。人は割合入っていましたが、混雑という程もなく、ゆっくり自分のペースで鑑賞出来ました。ごく一部を除いて撮影可でした。なんとなく、海外からの方々がかなりいらしていて、日本人は、メモをとったりお連れの方とディスカッションしながらだったり、その筋の学生さんとかプロの方風の方もかなりい… Read More
4.0
なんというか、会場自体が「住まいの実験」みたいで、動線を固定化しなかったことのメリット、デメリットのある展示だったように思う。自由にまわれるのはいいんだけれど、閾がわかりにくいのは、どうか。とはいえ、展示は手が込んでいて、見応え十分。実際に見に行きたい!と思わせる展示でした。
4.0
リアルに体感できる仕掛けが満載で楽しかったです。
建築模型や実寸大のレプリカの展示は、日常のリアルな目線の延長で住人のリアルな暮らしを想像しやすく、実際に足を運んでみたい住宅がたくさんありました。
個人的に特に気になったのは、
・フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年(カリフォルニア州サンタモニカの自邸)
・藤井厚二 聴竹居 1928年(京都府大山崎町の自邸)
・ジャン・プルーヴェ ナンシーの家 1954年(フランスナンシーの自邸)
素材、間仕切り、光源の取り方等に、それぞれの建築家の我流が如実に表れていて面白かった。京都の聴竹居は事前予約すれば一般見学が可能らしいので、いつか旅行ついでに行ってみたいです。
展覧会は1階と2階に分かれていて、1階が主要な展示。
2階は、ミースの原寸大の「ロー・ハウス」の展示の他、有名デザイナーのチェアや各社ブランドの最新チェアに実際に座って体感できるスペースになっていました。2階だけはチケットなし無料で入れます。数々あったけど、やっぱり座り心地も存在感も抜群だったのはミースのバルセロナチェアかな。
3.0
3月31日(月)15:30 入館
チケットは現地で購入しましたが、列はありませんでした。
サントリー美術館「エミール・ガレ展」の電子チケット(メール)を見せると100円引きになりました。
所要時間は約1時間30分
世界の革新的な14邸が、邸宅ごとに「島」で展示されています。パネルでの概要説明があり、映像、設計図、写真、ミニチュア模型などが並びます。
写真撮影はミニチュア模型のみ可。
また、同じフロアに、住まいに関する7つのテーマ(衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、ランドスケープ)に関する展示もありました。
インテリア的な要素を期待して行ったのですが、どちらかというと建築・住宅業界の人向けの展覧会という印象を受けました。特に各邸宅の特徴を説明するパネルには専門用語も多く、その邸宅の特徴やすばらしさを十分には理解できなかったように感じています。
印象に残ったのは、キッチンに関する展示。動線を配慮して動きの無駄をなくしたフランクフルト・キッチンの映像が興味深かったです。
ル・コルビュジエの「レマン湖畔の小さな家」の展示では、内観を撮影した映像に釘付けに。横に長い大きな窓から見えるレマン湖と山並みが美しく、平屋のこじんまりとしたサイズにもグッときましたが、この最高に贅沢な景色さえあれば、他には何もいらないかも…などと思いながら、映像に見入ってしまいました。
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フランク・ゲーリー フランク&ベルタ・ゲーリー邸 1978年
© Frank O. Gehry. Getty Research Institute, Los Angeles(2017.M.66)
藤井厚二 聴竹居 1928年 撮影: 古川泰造
リナ・ボ・バルディ ガラスの家 1951年
オットー・リンディッヒ《ココアポット》 1923年 炻器 宇都宮美術館
マルセル・ブロイヤー 《サイドチェア B32》 1928年 ミサワホーム株式会社 撮影: 立木圭之介