CURATION⇄FAIR Tokyo 美しさ、あいまいさ、時と場合に依る

はじめに.
CURATION⇄FAIR Tokyoが開幕した。本展は2024年から毎年開催され、今年で3回目。アートフェアと展覧会が組み合わされた目新しい構成になっている。会場は九段下駅から徒歩で5分くらいの「kudan house」。この建物は1927年に竣工したスパニッシュ様式、鉄筋コンクリート造の登録有形文化財。門をくぐるところから特別な雰囲気に包まれる印象だ。
これから本展を訪問する方は、昼間と夕方の2回、足を運んでみてほしい。太陽の白い光の中で見る光景と電灯の橙色の光の中で見る光景には、優劣つけがたい独特な魅力を感じると思う。

【歴史との対話】小林清親と「光」のポリティクス
門をくぐると、すぐ右手側に前面がガラス張りになった小さな建物があり、ガラス越しに白い長方形の立体作品が見える。斜めになった切れ目の下側には階段状の凹凸が並んでおり、タイトルを見ると≪Movie Theater≫とある。とすると、凹凸の部分は客席で、その上部の横向きの四角錐は映写機から投影された映画の光なのだろう。ガラスに映りこむ景色やガラスの前を横切る来場者の姿が作品に重なり合い、とてもおもしろい演出になっている。

夕方には、照明に照らされた展示室内の様子と、ガラス窓の前に投影される作品の影の対比が印象的な光景を見せてくれる。

【新たな時代を夢みること】洋画と彫刻の再出発の軌跡
玄関から右手のポーチに進むと、額に入った洋画がずらりと並ぶ。100年近い時代を経た建物に釣り合う、重々しい印象の作品だ。そこにアーチ形の窓から差し込む陽光とその影が、壁の直線に曲線を付け加え、明るさと柔らかさを演出しているようだ。窓から眺める庭の景色も気持ちが良い。

その先には、彫刻作品が並ぶ。こちらでも、アーチ形の窓の曲線が、重厚な印象の作品に、明るさと柔らかさを添えている。

【時代を超える「もの」の力】アンビギュアスな李朝白磁
数百年前に朝鮮半島で作られた「李朝白磁」が、ずらりと並ぶ。それらの「白磁」のあいまに、白い絵画が静かに、添えるように置かれている。これまでの絵画や彫刻の展示に比べ、こちらでは手触り感や、どのような果物や食べ物を盛りつけようか、使い方を想像する楽しみ方ができる。展示台がベニヤ合板の地のまま使われている様子も、工房の作業場所の雰囲気を感じさせ、生活感とは異なる親しみを感じる。


おわりに
ここまで見てきた作品の他に、「邸宅で味わう小さな映画祭」として、映像作品の上映もある。また、雨宮庸介によるVRや五月女哲平による抽象絵画にも、興味を惹かれるものがある。

本展を楽しめるのは2月8日まで。引き続き、アートフェアが2月13日から15日まで開催される。アートフェアでは、展示空間をがらりと変え、とても密度の高い展示を予定しているそうだ。そちらも、また楽しみたいと思う。
展覧会名 CURATION⇄FAIR Tokyo 美しさ、あいまいさ、時と場合に依る
会期 2026年1月23日から2月8日
会場 kudan house
公式サイト https://curation-fair.com/tokyo2026