エド・イン・ブラック 黒からみる江戸絵画
板橋区立美術館|東京都
開催期間: ~
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2024BEST展です!
年度末になると板美が気になります。毎年毎年、なかなかの好企画展を3月に持ってきますから。
今回もタイトルからしていいじゃないですか。"Edo in Black" なんてカッコいい響きでしょう。
3月の上京時、最初は行こうかどうしようか迷いに迷いました。なんたってアクセスがメンドイですからね、ここは。
でも東京を離れる日のアサイチで乗り込むことに決めました。帰りの飛行機は夕方なので、時間はあります。
三田線に乗り終点の西高島平まで。そこから歩きます。今回は2回目なので道は覚えてましたが、3年前の初訪問時はまいりました。
歩けど歩けどそれらしき美術館が見えてこない。ようやく近くの公園まで来て建物らしき姿が目に入ったときはやれ嬉しやと安堵したのが昨日のことのようです。
会期最初の日曜日、開館の10分前ごろに到着し公園の梅林を愛でながら小休止。
花は白梅がほぼ満開、紅梅が三分咲きぐらいで、メジロが数羽、蜜を吸いに来てました。
開館と同時に入場。私の他には数人のかたが早々と来られてました。
エドインブラックとはどういう企画展か。要するに黒を基調とした江戸絵画を集めたものです。
最初は水墨画とかが主体で、地味な作品ばかりかなあと思ってましたが、トンデモナイ!
ありとあらゆるモノクロ世界が眼前に現れました。着色画もあるので飽きません。
黒が主役なので、当然モチーフは夜の場面が多いのですが、そこには月が出てたり出てなかったり、夜桜見物のお姐さん、夜陰に紛れての逢引き、障子に映る人影、夜空の星だけ描いたやつ、夜明けの暁光と、よくぞここまでイメージ広げて集めたもんだと思いました。
そんな中、私がいちばん注目したのが塩川文麟《夏夜花火図》です。
小さい火鉢に線香花火が逆向きに立てて着火してあり、火花が咲いてまさにパチパチいってる図です。
線香花火を描いた絵は初めて見て、その火花がピークにある状態が実にうまく描けてるのに感心しました。
なるほど、名前の由来は線香のように立てるからなんだと合点がいった次第です。
でもこれ、キャプションには「線香花火」という語句は使われてなかったので、絵を見てそうだとわからなかったかたはいるはずです。特に東日本の人。
東と西で線香花火の形態は全く違っており、この絵にあるのは西タイプ。西の人間ならすぐに線香花火だとわかるのですが、東の線香花火は和紙で火薬を巻いたやつなので、キャプション作成されたのは東のかただったのでしょう。
「すぼ手」という語句は使ってましたけど、それって西の線香花火の別称ですから。ちなみに図録の解説にはちゃんと詳しく線香花火と称しての記載がありました。
若冲の《乗興舟》を見るのは2回目。これっていくつかあるということを解説で知りました。
若冲の珍品の部類に入る巻物状の絵というか版画でして、前回見た時と同様、その一部が1mちょっとしか広げてなくガッカリ。
前回は久保惣美術館さん所蔵品を西宮大谷美で見たのですが、やっぱりちょびっとしか御開帳されてなく当サイトに不満を書いたのですが、今回もまたまた同じでした。
ちなみに図録は絶対買ったほうがいいです。2500円だったかな。
なんでかというと、黒っぽい絵は会場で見てもよくわからないのが多いから。
前述した線香花火の絵もそう。現物では火花がよく見えないし、火鉢に何本立ってるかなんか目を凝らしてもわからない。
ところが、図録ではクッキリハッキリ、こんなに本数あったのかと驚き、火花も大満開なのが実に良くわかります。
若冲巻物も全巻広げて載ってます。
当展のスペシャル展示は会場最後の部屋。暗闇で金屏風を見るとどうなるかというなかなか凝った目論見です。
暗闇といっても真っ暗じゃ何も見えないので、月明かりもしくはロウソクの灯りを想定して点滅サイクルが可変のLEDでライトアップする仕掛けです。
以前、日美で井浦新さんが兵庫県の大乗寺を訪れ、真夜中にロウソクともして応挙の襖絵を見ると言う世にも恐ろしい(?)体験をされてました。
今回の板美企画はそういうのじゃないので、調光ツマミをいじくりまわして面白く鑑賞できました。
会場には企画に合わせたかのような黒ずくめの服着たかたもいらっしゃいましたが目的は写真撮影ですよね(笑)
当然のことながら良識ある板美さんですので撮影禁止です。
シャッター音に煩わされずに快適に素晴らしい企画を堪能できました。2024年度のMY BEST展に決定です。