今津景 タナ・アイル
東京オペラシティ アートギャラリー|東京都
開催期間: ~
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ディテールを読む絵
https://note.com/forimalist/n/nc6502753674c
今津景の展覧会が今、東京の2か所で開催されている。東京オペラシティアートギャラリーと、新しく北参道駅近くにできたUESHIMA MUSEUM ANN
EXEのこけら落とし。前者は67点の絵画とインスタレーションの大規模展。後者は12点だが、作家がインドネシアへ2017年にレジデンス、2018年に移住以前の2008年から2016年までの初期作品も展示されているのが特徴だ。したがって、あわせて見ることを強くおすすめする。
東京オペラシティアートギャラリーの展覧会名「タナ・アイル」はインドネシア語で「タナ(Tanah)」が「土」、「アイル(Air)」が「水」。つまり、今津がインドネシアの風土に根差した作品を手掛けていることを意味する。
筆者は、今津作品を以前からぽつりぽつりとは見てきて気になっていた画家のひとりだったが、これだけの点数をまとめて見るのは初めてで全容が把握できる良い機会だった。特に初期の作品は初見だ。ちなみに、今津の略歴を簡記する。1980年山口県生まれ。2007年に多摩美術大学大学院を修了。2009年「VOCA2009」佳作賞。「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館)や、「あいちトリエンナーレ2019」、2022年「ドクメンタ15」に参加。
さて、今津景の作品をひとことで言うとすると、〝ディテールを読む絵〟だ。言い換えれば、観者は、モダニズム絵画のコンテクストであるコンポジションや平面性で見るのではなく、描かれたモチーフの意味を読み、作家の社会に対する考えに思いを巡らす作品だと評することができる。つまり、1980年代のニューペインティングブームから始まった絵画のポストモダンが約半世紀を経て成熟を迎えている現在に今津景を位置づけられよう。
モチーフについては、2014年あたりから、美術史からの引用が取り入れられ(ジェンダーの視点も含む)、インドネシアへの移住以後は、インドネシアの自然(マラリア)、公害(泥火山)、歴史(原始時代の原人、旧日本軍占領)、神話(ハイヌウェレ)、生活(エビ養殖)などから取材したものが画面を埋め尽くすようになった。
一方、今津作品を絵画の手法面からの変遷を見ると、2014年あたりから、インターネット上の様々な画像を採取しパソコン上で編集処理したのち、確定した油彩で描き起こすという手法を確立している。その際、グリッジなどのデジタル的な特徴を油彩ならではの抵抗感のあるマチエールで具現化させている。そうした点も特に絵画好きにとってはひとつの見どころと言えよう。
ちなみに、パソコンで画面構成をする点では、ほぼ同年齢の薄久保香と共通する。(筆者記事参照)https://note.com/forimalist/n/nbd0235673d85
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- BY 堀間律人@forimalist