特別展「鳥」
国立科学博物館|東京都
開催期間: ~
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仰げば尊し地球生物の覇者『鳥』
「今度の科博はトリテンだって」という友人の言葉に、脳内の漢字変換で天ぷらな「とり天」が浮かんでしまった自分の食い気にちょっと凹んだ2月。
最終日にようやく訪問できました特別展『鳥』レポートです。最終日を待たずに来場者は20万人を突破しており、青天井の人気ぶり。
混雑覚悟で午前中に科博へ向かいます。常にファミリー客層や団体を捌く科博は最強!とばかり、行って早々入口で待ち構える展覧会スタッフ数名。
数組の家族連れと共にスルスル導かれてあっさり整理券受領➡入場時間の区分け説明、待ってる間に常設展にどうぞどうぞと流れるプールのように勝手に足が動かされていて、気が付けばショップ脇でガチャチャレンジしている自分がいました…入場整理と誘導がプロ過ぎる(笑)。
今回の特別展は、科学の視点から最新のDNA研究やゲノム解析で判明しつつある鳥類について、ズラリと並ぶ剥製標本やパネルをメインに紹介しています。ポスターにも【一生分の鳥】と謳い文句があるように、とにかく標本展示の数の多さは圧巻です!
そして写真撮影も動画以外はほぼOKという太っ腹さに、画像データの容量無くなる勢いで撮影してしまう科博鑑賞のあるある。撮影に勤しむ大人世代も多く見られます。
昨今の研究で推しの恐竜と近縁種である事が判明してきた鳥。
改めてどんな生物なのかと目を向けると、人類よりはるかにその姿も能力も多彩かつ多様な進化を遂げていて、あらゆる生物の営みに影響を及ぼす所とか、地球生物最強の覇者という言葉が相応しいんじゃなかろうかと思います。
以下に章立てと独断の注目ポイントをピックします。
序章:鳥を知ろう・・・・・・・・・・・多種多様な鳥の翼標本ズラリ
第1章:鳥類の起源と初期進化①
第2章:多様性サークル・・・・・・・・鳥の生物学上分類はなんと44!!
第3章:走鳥類のなかま・・・・・・・・ダチョウとか、ヒクイドリとか走る鳥
第4章:カモやキジのなかま②
第5章:陸鳥や水鳥のなかま・・・・・・ハシビロコウやペンギンなど、進化の裾野拡大
第6章:猛禽とそのなかま・・・・・・・鷹や鷲、トンビ等凛々しい系統
第7章:小鳥のなかま③
第8章:鳥たちと共に・・・・・・・・・日本の県鳥一覧や、バードウォッチングに向いたエリアの紹介
①では鳥類の起源と初期の進化について。展示メインは恐竜博でも紹介されたディノ二クス。
ジュラシックパークシリーズで、主人公に懐いてラスボス的なティラノサウルスに立ち向かう小柄な恐竜の骨格標本がここでも存在感を主張してます。
近年定着した恐竜の種の一部が鳥へと進化した根拠のひとつ、抱卵習性と【鳥】たる所以である羽毛の発達についての解説が面白いです。
規則的に並んだ卵の化石を親がうずくまって体温で温める行為は、現在の鳥類にも共通しています。
ただ、樹上等に卵を置く【巣】を作る行為は、恐竜とは異なる鳥独自の進化の賜物のようです。
進化の図解では、予想再現のディノ二クスには羽毛の長いしっぽと前腕に羽がちんまりとくっ付いていましたが、【飛ぶ】行為がやり易いように羽ばたきを可能にする大胸筋が発達して、しっぽはオタマジャクシのカエル変態時のように短くなり、飛行の邪魔にならないように進化していきます。化石の骨格と鳥の骨格比較展示からも恐竜と鳥の関わりが伺えて興味深いです。
②は身近なカモと、日本の国鳥であるキジについて。
全ての章の展示パネルに共通していますが、展覧会でピックアップした鳥のネタ漫画が20個以上あって、これが凄く面白くて大人も子供も大ウケしてます。
キジにも最新情報漫画パネルがあって、国鳥でありながら朝鮮半島の大陸にも分布してるので日本固有じゃないと思われましたが、最新のDNA研究で日本の固有種と判明し、漫画で見得を切るドヤ顔のキジ。
まあ、国鳥がその国の固有種じゃなきゃいけないと決まっているわけではない(フランスはニワトリだしウクライナとイギリスは同種のコマドリ)のですが、ちょっと気分的にスッキリです。
③は最も個体数が多い小鳥。世界の屋根のヒマラヤ山脈を越え(高度1万メートル!?)たり、1週間くらい不眠不休で太平洋縦断する渡り鳥たちの個別進化や、身近なスズメやツバメ等についての紹介。可愛い小鳥たちも、繁殖に関してはずいぶんドライというか、番(夫婦)かと思って同居ペアの子供のDNA鑑定したら片親が違っていたこともあるわ、シレっと他鳥に托卵するわで人間だったらけっこうな修羅場になる昼ドラ展開になりそうです。
これも漫画が分かりやすくて笑えるんですが、楽しそうな子供たちと違って人間に置き換えると思い当たるフシが無くはない大人世代は少々苦笑い気味。
外見の特徴が肌色とちょっとの骨格くらいの差しか無い人類と違って、大きさも羽毛種類も脚の形も、なんなら内臓器官すら進化で大きく変化した鳥類。
それでも男女間というか、家庭問題は生物共通のようです。
巻いて見ないと時間内に終わらない危機感で、壁にも天井にも吊るされた剥製や標本を見上げてフクロウよろしく首をくるくる廻し見て、ちょっとクラクラしながら会場出口へ。
上野公園を突っ切りつつも足元を見ると、さっきまで剥製で見た鳩やスズメがあちこち歩き廻ってせっせと食事中だし、上を仰ぎ見ると、真っ黒なカラスとよく分からない色彩の小鳥達が高い電線に並んでいます。1歩外に出るだけでも複数種が眼に入るくらい当たり前に都市社会に馴染んでいる【鳥】。
生物学上、一般的には多様性が高い種は新しい環境に適応しやすい(=種として生き残りやすい)と考えられています。
なので、人間とゴミ争いするカラスや軒先に巣作りするツバメ、田んぼを耕す耕運機の後を歩いてちゃっかり虫(食料)を入手するサギ等は人間社会にどんどん寄り添う進化だし、マイナス40℃の極寒でも繁殖可能で、しかも鳥なのに海を泳げるペンギンも今後大氷河期が来ても生き残れる別方向の進化の形。
文字通り身一つでの対応進化した鳥に比べると、道具の開発無しには環境適応できない人類ってだいぶ脆弱なのではなかろうかと気付かされます。鳥って凄い・・・
焼き鳥とか唐揚げでついつい食の欲望で見てしまう【鳥】の種の強さと尊さに改めて気づかされました。
今後も定期的に特別展をやって頂きたいテーマですね。来月から巡回で名古屋でのスタートです。
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