茶 碗 -茶を飲む器の変遷と多様性-
野村美術館|京都府
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関西の近代数寄者の茶道具を訪ねる秋 PART2
秋の展覧会が続々と始まる頃となりました。
関西の茶道具所蔵の私立の美術館では相互割引を実施しての展覧会が開催されています。
PART1として、お近くの中之島香雪美へ村山龍平愛蔵の茶碗で辿る茶の湯の歴史を拝見しました。
そして今回は少しは暑さもましになったかと京都へ。秋本番となるとまた観光客がドッと増えますのでその合間を縫って。
四条河原町から京阪で出町柳三条大橋渡ってすぐの北村美術館へ。アートアジェンダさんでは掲載がないのでこちらですこーしご紹介を。茶道具に特化した美術館です。春と秋にその時節の茶事に合わせたテーマを設けて茶道具の取合せを拝見します。
今回は、そぞろ侘しくなる季節によせて「しのぶ秋」
「しのぶ秋」は、「偲ぶ」とも「忍ぶ」とも拝見する人の心持に委ねられています。
特別展示『紺紙金泥一字宝塔法華経断簡』平安時代の装飾経です。
中に字がまだ書き込まれていない宝塔もあり、先に宝塔をびっしり刷り込んだ上で一文字ずつ埋めていったのでしょうか。
濃茶席 掛物 として『石山切 藤原定信筆 貫之集下断簡』それはそれは料紙がとてつもなく美しく、”錦秋”「書と料紙の総合芸術」と書かれています。この断簡の由来が、「昭和4年西本願寺が京都女子大学を建設する資金に充てるため、後奈良天皇から下賜され、昭和6年国宝に指定された「本願寺三十六家集」の中から、「貫之集 下」と「伊勢集」との二帖を分割し頒布された内のもの」で、「石山切」と名付けたのはかの鈍翁とのことを知り、メッチャ「へぇーー」ってなりました。京女建設のためにねぇ・・・ 濃茶席 花入『古信楽 蹲』と茶碗『斗斗屋 銘 白菊』も私はいいなぁと思った次第です。10/17-10/22 お隣の「四君子苑」秋の特別公開があります。
さて、河原町今出川からバスに乗って京大の農学部前を通って野村美へ向かいます。
紅葉の時期は永観堂や南禅寺、哲学の道へとごったがえすところですが、
東天王から歩いて碧雲荘の前を通って疎水沿いを歩けば野村美術館です。
今回の展示は、野村さんも(茶席飾を除けば)すべてが茶碗です。香雪では、村山の好みはほとんど感じることがなかったのですが、こちらも同じように時代を追って茶碗が展示されているのですが、野村さんはどれもド・ドーーーーンとしているような気がしました。展示は前後期で全部展示替え。得庵の好みが反映している、なんかスケール感が凄い!1碗1碗に存在感があるように思いました。私は此のところ個人的に高麗モノが好きなので、伊羅保や呉器に「わやーっ」てなりました。地下展示10/9まで、一方の壁面ケースに樂家の茶碗も並んでおりましたが、代々の樂家の茶碗を並べて拝見するとそれぞれの作りが確かに違っているもんだなぁと感じました。光悦の赤樂茶碗『銘 角倉光悦』も展示されており、こちらの展示を香雪の後で観て正解だったと思いました。
野村さんのHPには
「このように一口に茶碗といっても、時間の経過や、茶の湯を担う階層の変化に伴いさまざまに変化し、多様性に富んだものとなっていることに留意する必要があるでしょう。 さらに付言すれば、茶碗は抹茶を飲むための器であり、その目的に適した「なり・ころ・ようす」が常に求められていることをも念頭に置かなければなりません。」
とありますが、なかなかこれだけのものを目の当たりにすると冷静さを失いそうになりました。晩秋の展示も拝見したい!簡単な展示解説が野村さんのYouTubeでも紹介されています。
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- BY morinousagisan