
越後屋開業350年記念特別展 三井高利と越後屋 ―三井家創業期の事業と文化―
三井記念美術館|東京都
開催期間: ~
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江戸の豪商【三越(三井越後屋)】ファミリーヒストリー
8月中旬日曜の午後に訪問。外暑かったです。。。
三井記念美術館は、日本橋三越本店の並び、三井本館の7階にあります。
建物はマンダリンオリエンタル東京や千疋屋レストラン併設されていて、とても落ち着いた上になんだかラグジュアリーw
日本最古の地下鉄、メトロ銀座線の中盤にある"三越"前駅直結でアクセスが素晴らしいです。
そして百貨店の名前を駅名にしているのは全国でも1つだけだったりします。
日本を代表する老舗百貨店【三越】➡旧【三井越後屋】
創業の三井家には日本屈指の大店(おおだな)という言葉がとてもよく似合います。
というか、実際『超』大店だった三井越後屋。
象徴的な展示品が【駿河町越後屋正月風景図】鳥居清長 18世紀
駿河=静岡の本拠地での城下町風景。
遠く正面に真っ白な富士山を据え、軒を連ねる店舗の手前両側には三越の紋「丸に井桁三」の暖簾がズラリと並んでいます。
江戸時代は間口の広さで税額(今でいう固定資産税とか法人税に相当、たぶん)が決まっていたので、間口が大きい程高額納税(=繁盛してます)なんですよね。
20間(36m)はあったらしい三井越後屋は多分キング・オブ・大店だったと思います。
『三井高利と越後屋展―三井家創業期の事業と文化―』展は、商人あきんど代表の三井家の辿ったファミリーヒストリーな展覧会。
今回は創業者の三井高利みついたかとしとその家族に焦点をあてています。
創業期と銘打っているので、おそらく今後近代の三井家についても展示の機会を設けるんだろうなと勝手な予想です。
元は武士の身分から商人に転身し、適性もあったのでしょうが代々の堅実経営で江戸城下一帯に大店舗を構えた三井越後屋。
その商いの記録過程と、蒐集した茶道具等が展示されています。
【宗寿直筆出入帳】三井高利 江戸時代・延宝 7 年(1679)や【大元方勘定目録】18世紀は、在庫や金銭の出し入れ記録。
“現金掛け値なし”を謳った三井家は堅実経営でも名を馳せてました。掛け値って取引上やり易いから今でもあるんですけどね。
一律の正規値段で、ツケとか無しに現金のみの取引。なんか潔いなぁと思います。そういう公正なところが信頼を得たのでしょう。
台帳には品名や日付が丁寧に書かれていて、几帳面な商人・高利の人となりが伺えます。
一方で茶道具、【大名物 唐物肩衝茶入】北野肩衝 南宋時代や【樂道入】赤楽茶碗 銘再来なんかはお金を工面する担保から三井家『預かり』=『接収』➡収蔵品になり、交渉してしっかり利益を得る商人らしさと、担保に重文指定を受ける逸品を選んでいるあたり鑑定眼(目利き)があった事が表れています。
展示の独断逸品いくつか。
①【浮絵駿河町呉服屋図】歌川豊春 江戸時代・18世紀
商売繁盛そのままが表現された浮世絵の風景画。
体育館みたいな広さで高い天井の木造家屋の中、交渉に勤しむ町人たちのガヤガヤした活気が伝わってくるような浮世絵です。
こういう、現実に生きていた人達の生活が伺える風俗画というか、風景画は当時の暮らしを知る貴重な資料だったりしますが、何より見ていて楽しいです。
②本因坊道悦旧蔵碁盤・碁石 江戸時代1715年
江戸時代の三世 本因坊、道悦の碁盤セット。徳川将軍家に仕えた囲碁の家元、本因坊の囲碁セット、貴重です。
茶道だけでなく、文化全般に造形が深い三井家の証左だと思います。
展示を通して三井家の着々とした隆盛を実感する展覧会でした。
ちなみに鑑賞後は隣ビルの三越デパ地下でショッピング。休日のお盆の手土産もあるのか、もの凄い盛況でした。
ワイワイがやがやとお客さんがひっきりなしに商品を覗き込み、店員さんと相談したり、あれこれ悩んで購入したり・・・
なんだかさっき見た展示の浮絵駿河町呉服屋図とおんなじ空気が今もあるようで、活気にあてられたのか妙にポジティブ気分になる1日となりました。そして少々散財しちゃいましたw
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