みちのく いとしい仏たち
岩手県立美術館|岩手県
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祈ること、生きること
村落のお寺や祠、庶民の自宅など、暮らしの身近な場所で大事にされていた仏さまを「民間仏」と呼ぶそうです。今回は、北東北に伝わる民間仏を集めた、なかなか見られない展示です。
どこか、見たことある人のように親しみやすさを感じる仏様のお姿は、人々の心のよりどころだったことがよくわかります。明日の暮らしを祈ったり、亡き人を弔ったり、今よりも厳しい生き方を迫られていた北国の民衆の、祈りの心を垣間見ることができました。
作品の解説がわかりやすく、順を追って民間仏への理解を深めることができます。立派なお寺にある、お姿や持物の基本的なつくりをしっかり守った仏様と違う部分があります。意匠が違ったり、複数の神様を合わせてしまったり。でもそれを「田舎だからこんなの作っちゃって仕方ないね」と笑うのではなく、田舎の人が仏様を頼らずにいられない、祈らずにいられない、やむにやまれぬ思いがあったことを伝える展示になっています。
中でも最終章の「かわいくて かなしくて」は、これ以上の悲しみはないだろうという場面を想像させ、胸に迫るものがあります。
そして図録も素晴らしいです。紙質の良さ、写真の美しさにも驚きますが、読み物部分がとても充実しています。須藤弘敏先生の研究成果だけでなく、岩手県立美術館 吉田尊子氏、龍谷大学ミュージアム 村松加奈子氏、以前須藤先生と共著で『かわいい仏像 たのしい地獄絵』を出版された跡見学園女子大学 矢島新氏によるコラムは必読です。
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- BY yokominatono