面構(つらがまえ) 片岡球子展 たちむかう絵画
そごう美術館|神奈川県
開催期間: ~
- VIEW1009
- THANKS5
「面構」ってなんだろう?
とにかく全部がでかい。
画面が大型のものばかりで、そごう美術館という割とこじんまりした美術館に、まるでこないだ都美でやってた岡本太郎展並みに、どでかいのがびっしり並んでいる。
描かれている題材もでかい。人の顔もでかいし、全身描いてあるものなら体もでかい。
チラシの下の方に出ている足利氏三人を見ればわかると思うのだが、全員体も頭もはみ出して切れている(笑)。
「そういう構図です」と言われればそうとも言えるが、このパンパンな感じはやはり「はみ出してる」が正しい気がする。
今回の企画展を見に行く為に、人の感想やら書いた文を少々読んでみたのだけど、正直どれもピンとこなかった。
「女子美で教えてた」ことを強調し本当は上手いんじゃないかとに匂わせたり、「着物の柄が良く描けてる」(私が見た限り色や柄の合わせが違和感なんてもんじゃなかった)なんてのもあった。
強いて言えば、確か女優の室井滋が彼女のファンで「とにかくパワーに溢れている」ようなことを言っていたような気がするのだが、それもかなり昔で記憶もおぼろだ。
その同じ番組で、「先生に君のはげてものだ。でももうそのまま行きなさい、と言われた」というようなこともあったと思うがここもおぼろなんである。
でも実際絵を観た限り、この二つは大変しっくりくる。
しつこいようだが、足利氏3名。色も赤・緑・黄でそれぞれのキャラが表現され、特に顔面を緑に塗られた義政はかなりのインパクトだ。そこについてる説明文が「顔が高貴な好男子」で大爆笑。だって目も何かうつろな感じなのに・・・。
徳川家康もすごい。目と口の周りが白く塗られていて、「一体こりゃなんだ?」と説明文を見ると、「顔に白のハイライトで陰影をつけ」って書いてあり、またまた大爆笑。陰影になってないよ、完全に隈取だって!(笑)
このパターンで、見て「なんだ?」→説明読んでツッコミ入れるの繰り返し。
で、その後をほぼ占める、浮世絵の絵師のコーナーに入ってきて、この辺りで初めてちょっと違うものを感じて、「あれ?これなんだろう?この感じは・・・」と思いながら、小下絵・スケッチを見ました。そこでガッテン!でした。フェルトペンで描かれた絵はどれも違和感も威圧感もヘンテコな感じもゼロ。これを日本画として大きな画面にすると、同じ構図の同じ絵でも異常な違和感がある。つまり彼女はイラスト的に対象を掴んでいる。だけど日本画でそれを展開しようとしてるんですよね。
怒られるの承知でいいますと、これと同じパターンの絵を見た覚えがありました。
昔々原宿ラフォーレの上でみうらじゅん展があったときの、みうらじゅんの油絵に感じた違和感! あの叶姉妹の絵! でも好きなんだろうなぁ、叶姉妹が(笑)という納得感。
彼女の絵は、対象の絵師の中に描こうとしているものがもう少し複雑だとは思いますが(北斎・広重を年代を変えたりしながら何度も描いたり、彼らの絵も一緒に描いているところからそう考えました)、描こうとしている絵師へのリスペクトは「取材・推敲を重ね確信をもって血肉のある人間に仕上げ」というのですからすごいものでしょう。
でも「血肉」っていうより、片岡氏が会ったり、思い描いてきた「絵師」のイメージを、彼らの絵や伝説などから喚起して人物を作り上げた、という方がしっくりくる。実際自画像のようなものが残っていない人物まで想像で描いている。つまりキャラデザインしてめちゃ深堀(妄想)していく、ということですよね。
私は「面構」というのをそのように解釈致しました。
どうしても富士山のイメージがあって、今回も2、3点かな?観ることができますが、それ以外の片岡球子をがっつり観られて満足でした。
展示数も57とかなりあります
個人的には鳥文斎と雪舟のすっきりした感じが逆に印象に残りました。
皆さんはどの絵に一番びっくりしましたか?
最後に、招待券を頂きまして、展覧会へ足を運ぶ機会を下さった、アートアジェンダ運営様に感謝です。
- THANKS!をクリックしたユーザー
- uchikoさん、micco3216さん、Nikiyaさん、morinousagisanさん、Sukekiyo-Acckermanさん