東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
東京国立博物館|東京都
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大感謝祭
国立博物館の国宝展は、日本国民への感謝還元大放出イベントだ。
だから、本来なら日本全国を巡回すべきだし、見たいという国民にはもれなく鑑賞機会を与えるべきだと思ってる。
だけどそうはならない。移動とか展示期間とか細かい制約があるそうで、結局、その博物館で日数限定、会期も細かく分けてやるしかない。
おまけに今はコロナ感染第八波が襲来している状況だ。客も入れ放題ってわけにはいかない。よって混雑は必至だ。
私は11月15日の予約を取ろうと、受付開始の11月1日午前10時から予約サイトにアクセスしたら、なかなかつながらず。何とか10時20分ごろにチケット1枚ゲットできた。
それから1時間後くらいに予約状況見てみたら、2週間分が完売。
ほんと、国宝展の凄まじさには呆れるばかり。
そして11月15日。小雨の中、上野へとやって来た。
入館開始は11時30分だったが、すでに大行列だったので先に「150年後の国宝展」見て、ちょうどお昼の12時ごろに入館。
予約者のみの人数制限かけてるから、会場内は少しはゆとりあるかと思えばさにあらず。いきなり出て来る狩野永徳《檜図屏風》の前は三重四重の人垣だ。
続く岩佐又兵衛《洛中洛外図屏風》も、人垣で結局下半分は見ず仕舞い。
《地獄草紙》、《餓鬼草紙》に至っては、人の頭と頭の隙間越しにチラ見するしかなかった。絵巻物系はそうなるのはわかってるのだが・・・
その後一巡して再び戻って来ても状況変わらず。もう一度チラ見で我慢した。
まあまあちゃんと見れたのは、書跡、考古、漆工ぐらい。
書跡の《破れ虚堂》と《流れ圜悟》は先月京博で見たばかりで、1か月以内の再会。
縁のあるものってあるもんだね。
大昔の書跡を見て思うのは、唐時代の中国で書かれた楷書はものすごく美しいということ。今回出てた《世説新書》や《細字法華経》なんて美文字の最たるものだ。
今の中国簡体字見るにつけ、漢字を守るのは日本人しかいないと思う。
考古分野では、埴輪の《挂甲の武人》と伝香川県出土の《扁平鈕式銅鐸》に大満足。(銅鐸は袈裟襷文銅鐸という名称だったが変わったみたい)
埴輪って今でも粘土こねて形つくって素焼きしたら、割と簡単にできるんだろう。
でもこうやってガラスケースの中の大魔神ビフォーを見たら、神々しさを感じてしまう。それが国宝の威厳だな。
銅鐸の国宝は神戸市博物館で再々見てるんだけど、やはり東博の讃岐産は別格だ。
とんでもなく状態がいいから表面の図柄が完璧にわかる。
国宝になる必然性みたいなものをこの銅鐸が教えてくれます。
最後の部屋は刀剣。
こればかりは私は細かい差異が全くわからない。どれも同じに見えて。
ガラスケースに極力近寄って、じっくり見たいのは山々なれど、昨今の若年層マニアさんが押しかけてて思うようには拝見できず。
《三日月宗近》のみ、単独ケースだったので解説ちゃんと読んだ。そこには「三日月形の打ちのけ」が特徴とあった。
「打ちのけ」とは何ぞやと、傍らの女性スタッフさんに聞くも、わかりませんとのことで刀身をよーく見ると、爪切りで切った爪みたいな模様がたくさん見えた。
たぶんあれだろうと納得するも、それがあるから何で良いのかは不明。
その後の部屋は第二部。国宝を離れて東博の歴史的お宝展示コーナーで、面白さ満載。
国宝という肩書がつかないだけで、その価値は十分あるんじゃないかって品々が目白押しだ。
人の波も一段落したとこで、巨大シャチホコ、彰義隊に打ち込まれた砲弾、キリンの剥製等々をリラックスして鑑賞できるのはいいね。
もちろん国宝予備軍たちも勢ぞろい。重文の遮光器土偶や一休さんの肖像画にも初めて会えて嬉しかった。
よく考えてみると、ここは美術館じゃなくて博物館だ。バラエティに富んだ常設出展は今後も是非続けてほしい。
会場出口では《見返り美人》がお見送り。半世紀前の切手収集少年にとって、憧れの女性だ。
実は私、当館でこれを見たことなかったのだが、ついに邂逅できて欣喜雀躍。
が、キャプションには「複製」の文字が。
あちゃーと思うも、本物も複製もたぶん違わないはずだ。むしろ、日本のカラーコピーテクノロジーをもってすれば複製の方がお色直し効果で、より美人?
東京国立博物館150周年、誠におめでとうございます。国宝展、開催していただいて本当に良かったです。
全ての文化財の維持管理、保全修復に日々ご尽力されている皆様のご苦労にも深く感謝いたします。
またの機会にこのような展覧会に巡り合えることを祈念いたしまして、一国民からのお礼の言葉といたします。
ありがとうございました。
※このレビューをUPした時点(11月22日)では、当展の会期はまだ20日ぐらい残っていますが、日時指定入場券は完売しています。(当展はすべて日時指定)
レビューはこれから行く方のためでもあるのですが、そういう状態ですので行きたくても行けないかたには申し訳ありません。