ボテロ展 ふくよかな魔法
Bunkamura ザ・ミュージアム|東京都
開催期間: ~
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スモールライトに当てられたような
CMやラジオで頻繁に宣伝されており、鑑賞欲が掻き立てられ初日に鑑賞した。あな恐ろしや広告の影響力。
初期作品の中で最初に目に止まったのは「庭で迷う少女」だ。向日葵畑だろうか、夢中になって駆け巡っていたが日が陰り、背丈のある向日葵に囲まれ、どこにいるかわからなくなった少女を彷彿させる。迷子特有の途方に暮れ目が虚ろになる姿が、ボテロが描く色使いと無表情にこれほどまでマッチするとは思わなかった。インパクトが強いが他の作品も見て回っていくうちに、タイトルのように迷う少女が私の脳内から忘却の彼方に押しやられてしまいそうになるため、脳裏に焼き付けるために館内を3回戻ってじっくり観た。そう、この作品のポストカードが無かった為、私の記憶の中に収めることにしたのだ。
次章の静物で驚いたのが「洋梨」だ。その洋梨は私はおろか、成人男性を覆い尽くすように巨大に描かれていた。まさか人生で自分の背丈より大きい洋梨と相まみえるとは思わなんだ。まさにスモールライトに当てられたような世界観だった。その巨大さ、ふくよかさを強調するように虫食いの跡や虫が小さく描かれており、愛らしさも感じた。虫にはボテロ作品には珍しい無表情じゃない笑顔が見られており、遊び心が垣間見える。
その後コロンビアやラテンアメリカなど、ボテロの時代背景を窺えるような作品が次々と展示されていた。「バルコニーから落ちる女」や「寡婦」などいい例だ。それらの作品も無表情が徹底されており、表情から読み取ることが難しいが、色使いや周りの状況の描写により、それぞれの人物像が浮かび上がるのが何とも面白かった。
正直、ボテロの描くふくよかな人物とサーカスの軽業師は相対するものだ。それでもブランコ乗りや高足ピエロなどをあえて描くことで、チャレンジ精神を感じさせられた。
最後はやはり、名画のオマージュである。どんな名作も、ボテロの手にかかれば一気にふくよかになり、元の絵画を忘れさせられるほどの強烈さがあった。このエリアの一部は写真撮影OKだったので、存分に撮りまくった。
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- fumiko773さん、Audreyさん、morinousagisanさん