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井上有一の書と戦後グラフィックデザイン 1970s-1980s

井上有一の書と戦後グラフィックデザイン 1970s-1980s

渋谷区立松濤美術館|東京都

開催期間:

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孤高の書家-井上有一の魂の叫び

「哲学する建築家」とも称される白井晟一氏が設計した松濤美術館は、渋谷区松濤という高級住宅地に静かに佇み、街並みに溶け込むような外観を持ちながら、内部には白井氏独自の思想が凝縮されている。その空間は、井上有一の作品と響きあい建築と書の間に、静と動の対話が生まれているようであった。
井上有一の作品は稲妻のようだ。筆と身体が一体化したような凄まじい表現力に圧倒され、言葉を失う。伝統的な書の美を超越し、一文字一文字が「生」として存在を主張するその力強さは、単なる文字ではなく、魂の叫びのようである。
 対照的に第2章で展示されていた自作のレコードインデックスは、楽しげな印象の作品群だ。コラージュされた紙に曲名が描かれ、書とは異なるセンスと遊び心が感じられる。創作の幅広さと、音楽との親密な関係が垣間見え、井上有一の人間性がより立体的に浮かび上がるようだった。
 展示を通して井上有一の「書」が単なる造形「作品」ではなく、生活と思想の延長線上にあることを強く示されていたように思う。墨に膠やボンドを混ぜ、筆跡に息遣いを残す技法からは、日常の中で創作を追求する苦悩と情熱が滲み出ていた。キャプションに導かれながら、書とグラフィックデザインの関係性を丁寧に紐解かれ、表現の境界が揺らぐ瞬間に立ち会わせてもらえた気がする。
操上和美氏撮影の〈井上有一肖像〉モノクロ写真には、創作に向き合う覚悟と静かな気迫が宿っており、背中が語るとはこのことかと深く心に残った。書と絵画の境界、表現と記録の違い、そして芸術の本質について、改めて考えさせられる展覧会だった。
(懐かしいポスターも数点展示されていた。作品年を確認したら、かなり月日が経っていた。そう、私は年を重ねているのだと実感した)

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