藤田嗣治×国吉康雄: 二人のパラレル・キャリア―百年目の再会
兵庫県立美術館|兵庫県
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同室の数奇(コレクション展付き)
兵庫県立美術館は今のところ3回中2回雨である。そして雨が降るとこれが六甲おろしなのか、灘駅から美術館までの道ですごく強い風が吹く。
藤田と国吉の関係については日美で予習してきた。お互い意識し合っているような、すれ違っているような距離感の2人の作品が、同じ展示室で向かい合わせや隣同士で展示されているのを見て数奇なもんだなと思った。特にお気に入りだったのは国吉「秋のたそがれ」を背に立ったとき(美術館で絵に背を向けるな)。手前の壁に国吉の寝そべる女性、奥の壁に藤田の横たわる裸婦が見えて、よく見比べられた。
国吉は土みたいな赤っぽい色をバックにしていて、暗い青、緑みたいな色が特徴的(国吉は画風の変遷が大きくて、後年はかなり色使いが変わっていたから、これが国吉とは一言では言えないけど)。もちろん藤田の色は乳白色だが、その色調に合った色を選ぶのも巧みだった。洋服の青や灰色の影、そして背景や少女の瞳の黒。また、服の縫い目など細かい描き込みや、とろけるような猫の質感が素晴らしかった。山王美術館のエコール・ド・パリ展行けばよかった。畜生。
国吉の「バンダナをつけた女」を見て、シンディ・シャーマンを思い出した。普遍的な女性を描こうとした国吉と、類型的な女性像を批判するシャーマンとではベクトルが違うかもしれないが。「バンダナをつけた女」は、何かモデルを前にして描きましたって感じじゃなくて、一瞬を切り取ったかのようなスナップショット的な感じを受けた。コレクション展の中山岩太を見てても思ったのだが、肖像画、人物画とスナップショットの直感的に感じる違いってどこから生まれているんだろう。
なんとコレクション展が無料の日だった。ラッキー。
具体芸術協会の作品が多くて、悩んでいたがやっぱり芦屋行こうかなって思う。
嶋本昭三「作品」と今井俊満「ヴェネチアに捧ぐ 波濤図」。絵画は画題を本物のように再現しようとする方向があるがそれだけではなく、これらの作品ではマチエールで錆や鉄といった絵の具以外の物質を再現しようとしているのかなと思った。
白髪一雄「東方浄瑠璃世界」。浄瑠璃というタイトルなのにスピード感がすごくて面白かった。「天空星急先鋒」もタイトルにふさわしく勢いがあってよかった。作品とタイトルの取り合わせが楽しめた。
彫刻の展覧会はあまり行ったことがないが、やっぱり彫刻は物体としてそこにあるということによって迫力を生み出せる強みや、物体として色々なファクターを利用できる面白さがある。シーガル,ジョージの「ラッシュ・アワー」は、等身大の人物像が複数並んでるだけでも何か圧を感じたし、ヘップワース,バーバラ「曲がった形(ブライヤー)」は、曲がった板に映った、張られた紐の影が湾曲してて面白かった。
1階が終わったところでお腹がぺこぺこになったので、いったん休憩。レストランは知らないうちにジビエ屋さんになってた。猪鹿のボロネーゼ食べる。美味しかった。藤田の「ラ・フォンテーヌ頌」のキャプションに、「人間のように食事を摂っているが、食卓の内容から獣だとわかる」みたいな文言があったが、人間もあまり変わんないなって思う。
2階ではジャスパー・ジョーンズが見れるとあって楽しみで行ったが、会期が終わっていた。が、代わりに展示してあったヘイター,スタンレー・ウィリアムがめちゃめちゃ良かった。画面全面に線を書き殴ったような版画なのだが、「飛び魚」、「金魚」など海の生き物がタイトルについた作品は線が激しく、「溺死者」、「睡蓮」といった作品は線が落ち着いていて描き分けがされていた。そして暗い海、明るい波の飛沫、夜光虫の光といった色が素晴らしく美しかった。
コレクション展、こんなにたくさん見て回って無料だったのが最高だった。満腹。展示替えもあるし、また行こうかな。
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