ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り
パナソニック汐留美術館|東京都
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クリムト初期の写実時代から、ルーシーリーまで
ウィーンといえば、今年はクリムト年*なこともあって、クリムトの創設したウィーン分離派を連想する。
*「クリムト・アライブ」「アート・オン・スクリーン」などがあった。
が、本展のタイトルは「ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末」
クリムトは、ウィリアムモリスの影響を受けたから、分離派はその後として、
ビーダーマイヤー? そして、世紀末?
時系列を整理(ChatGPTを活用)
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産業革命(1760〜1840)
↓ 機械生産の普及・市民社会の成立
★ ビーダーマイヤー(1815〜1848)
↓ 市民的・家庭的な生活に根ざした実用美の芽生え
アーツ・アンド・クラフツ(1860〜1910)
↓ 手仕事と美の融合、美的倫理
★ ウィーン・スタイル(1890〜1910)
↓ 幾何学的・統一的デザイン(総合芸術)
★ ウィーン分離派・世紀転換期(1897〜1910)
↓ 装飾と機能の調和、芸術の近代化
バウハウス(1919〜1933)
↓ 芸術と工業の統合、モダンデザインへ
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この時系列を片隅において展示へ→
第一章、ビーダーマイヤーの時代は、ミニマルでモダンなプロダクトが並ぶ。
バウハウスの約100年前、今から200年以上も前のものなのに、
フォルムはもちろん、状態も素晴らしく驚いているところに、
室内画や当時のファッションのイラストが連ねていて、ライフスタイルを想像し、
タイムトラベルしたかの感覚になってくる。
第二章に入ると、銀器とガラス製品を見比べるような構成になる。
ガラスもカラフルなものと、透明度を生かした薄く繊細なものとバリエーションが豊富。
第三章から、さらなる驚きが始まる。
クリムトの精神的パートナー、エミーリエ・フレーゲの肖像画がある。
クリムトといえば1900年以降の黄金様式期のキラキラを想像しやすいが、
今回展示されているのは、その頃の青い服を身につけたエミーリエの肖像画ではなく、
1981年の比較的初期の写実的な《17歳のエミーリエ・フレーゲの肖像》
我が家には、これと同じような構図・色彩の《ヘレーネ・クリムトの肖像》1898年の作品のポスターがあり、
この頃のクリムトが好みで、まさか、まさか、ここで出会えるなんて!
17歳とは思えない、エミーリエの意思の強さを感じられるその横顔に惹きつけられて、
これはプロダクトやライフスタイルを紹介するだけの展覧会ではないことに、やっと気がつき始める。
第三章は、男性中心の社会の中へ、女性のアーティストが参加してきた様子を、
充分なスペースをとって3節で展開する。
その一節目「ウィーン世紀末と女性インフルエンサー」にエミーリエがある。
エミーリエは姉妹とともに、モードサロンをオープンし、コルセットの締め付けから女性の身体を解放、
流れるようなしなやかな美しいフォルムのファッションを提案した。
そんなエミーリエをクリムトが撮影した写真などの貴重な資料もみることができた。
二節目の「ウィーン工房」は、建築家のヨーゼフ・ホフマンと画家コロマン・モーザーが、
生活そのものを芸術にすることを目指したもの。
ホフマンは建築家として世界遺産のストックレー邸を設計、その内装をクリムトが手がけた。
その印象が強かったので、ホフマンの手がけたカトラリーからブローチまで、
多岐にわたるプロダクトが複数並んでいることにもまた驚いた。
三節目の「ウィーン工房の女性アーティストたち」では、幾何学模様などのテキスタイルデザインが続いた。
最終章は、ルーシーリーや上野リチ(フェリース・リチ・リックス)など。
ルーシーリーはイギリス、上野リチは京都が定着しているが、
ルーツはウィーンで、ホフマンに学んでいたことを改めて知ると、
ホフマンらがウイーン工房で、装飾美から機能美への橋渡しをしてくださったことに、畏怖の念が湧いてくる。
パナソニック汐留美術館は、比較的コンパクトな空間だけれども、
今回もとても密度の濃い展示内容で、館内が写真撮影不可なこともあり、
覚えていられないくらいの情報量だった。
会期中に前期 10月4日〜11月11日と後期 11月13日〜12月17日で一部展示替えがあるとのことで、
ぐるっとパスを活用してまた行きたいと考えている。
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- BY berryberry