大阪・関西万博開催記念大阪市立美術館リニューアル記念特別展「日本国宝展」
大阪市立美術館|大阪府
開催期間: ~
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GO! GO! WEST!
関西三都の万博祝賀特別展も、本日無事フィナーレを迎えました。
京都、奈良に続いていよいよラスボス大阪市美の国宝展レビューです。
奈良から大阪へ近鉄電車で戻ってきて、鶴橋から環状線で天王寺下車。リニューアルした大阪市美へはいつものように天王寺公園内を通って向かいます。
その昔、ここはホームレスの聖地でしたねえ(笑)ただ、上野公園の藝大奏楽堂のとこにあったホームレスエリアに比べたらずっと陽気でにぎやかでした。
今もその伝統(?)を受け継いでか、いろんな飲食店やプレイスポットができて明るく楽しいパークになってます。
シン大阪市立美術館は5年ぶりですが、どこが新しくなったかはイマイチよくわかりません。京都市美は入口がグランドレベルから一段下がったので、お、変わったなという印象あったのですが、大阪は以前のように正面の階段を上がっていく堂々の面構えで貫禄あります。
平日限定の前売り券で入館はスムーズ。客は多かったけど、奈良博よりは皆さん行儀良かったですね。
荷物のコインロッカー入れや、リュックの前抱えがよく周知されてました。
こういう大規模国宝展はツカミが肝心。私が行った会期の第1室は若冲《動植綵絵》が先陣を切り、向かいには等伯《楓図》の布陣でした。
応挙《雪松図》に又兵衛《洛中洛外図屏風》と東国からの賓客もお出迎えです。
何度見ても流石の国宝ですね。宮内庁さん、智積院さん、三井さん、東博さん、等々には大感謝です。
ちなみに、この国宝展の会期は細かく6期に分けられてます。見たい国宝がどの会期に出てるかを事前にチェックしてから行くとよいわけですが、あれも見たいこれも見たいは山々なれど、同じ会期にそれが出てるとは限らないので非常に悩ましい。
ましてや、地方から遠路大阪に出てくるとなれば、行く日は限定されるから見れない国宝も多々生じます。私はまずは行く日ありきだったので、その日に出てる国宝をしっかり見させてもらいました。
第2室は考古出土品。有名な《火焔型土器》は通期展示、いつ見ても燃えてます(笑)
《袈裟襷文銅鐸》は神戸市博から。ここの国宝銅鐸は大小合わせて14個あって、今回出てたのは第5号。大きさでいくと中の下ぐらいですが状態が極めていいので必見ですね。ちなみに7月5日から神戸市博ではこの桜ヶ丘銅鐸を主役とした特別展が開催されます。14個すべてが国宝という銅鐸界のスターですのでこれを機会に神戸市博へもどうぞ。
福岡市博の《金印》は毎度のことながら出張期間が激短なので会えず。まあ日本一と言っていい福岡の至宝なので致し方ないか。
でも福岡を留守にするときは市博にはレプリカ出すはずなので、国宝展にもそれを貸してもらえんかなあ。見た目は全然変わらないので、どんなものかを知りたい小中学生のためにも。
続いては金沢からやってきた仁清《色絵雉香炉》のオス。これ、メスもあるってのを石川県美に行くまで私は知りませんでした。きれいなのは本物のキジと同様オスです。今回メスは留守番ですね。
光琳《舟橋蒔絵硯箱》や蕪村《夜色楼台図》も見れて、ツカミはOKな出だしです。
次の部屋へとやってくると、人垣が一段と集中してるので何かと思えば、《信貴山縁起絵巻》です。今回は飛倉巻が出展。いつも人気者なので最前列は無理。前から2列目ぐらいで拝見です。
宮島から海を渡って《平家納経》が、東博からは《孔雀明王》が飛んできて、まあ嬉し楽しの競演です。
《病草紙》は国宝9点を奈良博と分けあって5点が来阪。昔も今もビョーキは辛い(笑)にしても、歯周病とか肥満とか痔とかの現代病は平安時代となーんも変わってないのが笑えます。
ここから階下に降りて1階の会場へ。最初の部屋では書跡の名品が出てきます。《金光明最勝王経》は奈良博とは別の巻。金字楷書が超絶美しい。私の地元からは毛利博物館の《古今和歌集 高野切第二種》が。かなの美しさも格別です。読めんけど(笑)
そして真打登場。王羲之《喪乱帖》。行書の美はよくわからんとこもあるけど、これが史上最高の「書聖」筆と覚えておけばよろしいかと。
この部屋でいちばんの感激は《瓢鮎図》です。前日に京博に行き展示期じゃなくて落胆してたところ、まさかの大阪に出てたとは!
この絵は至近距離で見てこそ面白さが倍増します。なぜなら、「ナマズをヒョウタンで捕まえるには?」との問いに対する答えが絵の上部にズラリと並んでるから。回答は漢文でサッパリわかりませんが、禅問答の模範的かつ完璧なQ&A例題として国宝指定は当然でしょう。
刀と鎧の部屋は、軽く流して次の部屋へ。当展のアピールポイントでもある「大阪ゆかりの国宝」ルームです。大阪各地の寺社、さらには私立美術館等からお宝が来てます。
私が一番見たかった河内長野の金剛寺《日月四季山水図屏風》は惜しくも展示期ズレで見れず。残念。でもその金剛寺所蔵の《延喜式神名帳》が見れたのはラッキーでした。
小野道風《三体白氏詩巻》は楷書・行書・草書の同時比較ができる逸品。所蔵する正木美術館にも一度行ってみないといけませんね。
ラストの会場はお待ちかね仏像です。この日の午前中は奈良博で気絶するほどの仏像攻めで大満腹になってましたが、やはりこれは別腹(笑)
京都は東寺、清凉寺、浄瑠璃寺、奈良は薬師寺、和歌山は熊野速玉大社と、素晴らしい仏像・神像が多数。大倉集古館の《普賢菩薩騎象像》も来てくれてありがとう。
就中、いちばん嬉しかった出会いは《鑑真和上坐像》です。あまりに有名なので、過去に見た気になってたのですが実は見ていない。
唐招提寺には一度行ったけど、その時に見たかというと見てませんね。なぜならこの御像は、年に1回6月初めの3日間しか一般公開されないから。
今回はその時期に先駆けて、大阪へお越しくださいました。本当にありがたいことです。
ありがたい理由はもひとつあって、下卑たことを申せば、唐招提寺の拝観料は千円、鑑真様の特別拝観には別途千円かかるからです(笑)
本来ならこういった仏教美術品はそれがあるお寺で見るのがあるべき姿だとは思います。だけど、地方在住者はそうもいきません。距離と時間の制約はありますし、何よりそこに行っても見れるかどうかという問題もありますから。だから国宝展や特定寺院テーマ展はものすごくありがたいのです。
今回ご協力くださった全国各地のお寺さん、神社さんほか、たくさんの文化財所有者様には厚くお礼申し上げます。
さて関西三都の特大企画展を全館制覇。どこも最高でした。各美術館さんのご苦労はさぞかし甚大なものだったことでしょう。
特に大阪市美さんは、展示期間の調整が複雑困難を極めたことかと思います。国宝展の宿命っちゃ宿命なんですけど、国立博物館の国宝展に負けてない企画構成力でした。拍手です。
私は今回の三館競演は、朝日vs読売の代理戦争的な視点でも見てました。主催者が京都・奈良が朝日、大阪が読売だったので。
朝日のインテリジェンスパワーと読売の大衆訴求力の激突でもあったのですが、両者とも存分に力を発揮し、勝負は互角だったと思います。
ともあれ、大盛況で終わった2025春の関西大展覧会。「西」を大アピールできたんじゃないでしょうか。
今年は阪神も強いし(ファンじゃないけど)、万博もまだまだこれからだし(行く予定ないけど)、GO! WEST! ですね。