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生誕150年記念 上村松園

生誕150年記念 上村松園

大阪中之島美術館|大阪府

開催期間:

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《序の舞》に寄す

《序の舞》目的で2025春の関西遠征した。普通なら京都・大阪・奈良の国宝展に行ったついでに上村松園展も行きましたとなるところ、私の場合は《序の舞》を見に行ったついでに国宝展も行きましたとなる。
で、その感想はというと、本当に見ることができてよかった。わざわざその1枚の絵の展示期間を狙って旅程を組んで正解だった。
それほど、《序の舞》初見のインパクトは想像を超えていた。

上村松園生誕150年記念展の最大の目玉は誰が何と言おうと、私にとっては《序の舞》ただ一点。言わずと知れた藝大所蔵の重文である。
その展示期間は約2か月間の会期中の3週間のみ。訪問したのはその期間が始まって3日目の平日午後。
私に限らず《序の舞》目当ての方が大挙して押し寄せてないか心配だったが、大混雑というほどでもなくてよかった。

会場に入れば、松園の美人画ワールドに身も心も呑み込まれてしまう。どれ一つとして駄作・凡作はない。一人の女性画家をして成しえた日本画の金字塔がここにある。私のような品性卑しいジジイでも、松園作品を見ればたちどころに心が洗われて清々しい気持ちになる。全国の美術館の出展ご協力に感謝感謝で至福の鑑賞時間に浸る。
しかしながら、次々と登場する至高の美人画に没入するも、心ではアレはまだか、どこで出てくるのかと焦りにも似た思いがよぎる。アレとはもちろん《序の舞》だ。

そしてその時は来た。展示の最終盤、会場のコーナーを曲がると10mぐらい前方にそれはあった。
デ、デカイ! なんなんだあの大きさは! それが《序の舞》を初めて見た感想だ。
遠目に見ても周囲の作品の3倍ぐらいはある大きさ、近くで見たらなおさらその巨大さを実感する。周りの絵の中の美人が子供のように見え、なんだか、紅白で小林幸子ロボが出て来たみたいな感じ。あとで実寸を確認したら縦が230cm、横が140cmだから、舞を舞う女性は等身大だ。
こんな日本画女性があったろうか。清方の美人画三部作あたりもデカイほうだろうけど、そのはるか上を行く大きさだ。しかしてその絵の出来栄えもまったく他と変わらず完璧な美しさを湛えている。

なんだろうなあ、この感慨は。
大きければいいってもんじゃないというご指摘もあろうが、大きいことはいいことだ。と、山本直純先生もおっしゃってる。
でも、冷静に私の美術鑑賞人生を振り返れば、《序の舞》のイメージは切手なのである。
小学生時代に集め始めた切手、その最も初期のコレクションの1枚が1965年発行の切手趣味週間の本作なのだ。それまでは浮世絵や、やまと絵の名作が趣味週間切手の題材だったのが、その年からは近代日本画に舵をきったターニングポイントの1枚。記念切手だから通常の切手サイズよりは大きいものの、その大きさが以後半世紀以上も私の中での《序の舞》サイズだった。
もちろん、本物はもっと大きいとはわかってはいたが、まさかこれほどまでとは夢にも思わなかった。
この感激って、昭和の切手少年なら絶対にわかるはずだ。特に切手だけ集めてて本物は見たことないって者たちには。

このレビューは《序の舞》の巨大さに大感激したことに絞って書いてますので、絵の素晴らしさや制作エピソードなんかは他のレビューや文献情報を参照してください。私が同じことをここに書くのもおこがましいですし。

松園作品すべてについても、とにかく言えるのは松園美人画なくして近代日本の美人画はない。松園の前に松園なし。松園の後に松園なしということ。それだけです。

会場の最後に松園が母に寄せる思いがパネルとなって書かれており、読んで涙しました。
そしてもう1枚のパネルにあった松園の言葉「芸術を以って済度する」。
そこまで言い切る芸術家がいたでしょうか。私は他に知りません。

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