開館50周年記念特別展「浅井忠、あちこちに行く-むすばれる人、つながる時代—」
千葉県立美術館|千葉県
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浅井忠、という明治期の画家のこと、こんなに丁寧に紹介された展覧会は初めてでは…
ここまで一人の画家に対して、丁寧に、心を込めた展覧会を拝見することは、初めてかも。
まず、驚くのが、展示室入口の「ごあいさつ」パネル。狭い行間にビッシリと詰まった小さな文字。
この序文(館長や学芸の声)から、日頃の作業を通して伝えたいことが山程あること、浅井忠先生への思いも伝わる。
展覧会では、10代の頃に学んだ花鳥画(雅号・槐庭)、工部美術学校時代のデッサン、フォンタネージ先生に習った西洋画、日記や手紙などの千葉県美所蔵資料が展示の中心で、いわゆる西洋画(=油絵作品)作品の陳列はごく僅か(とはいえ、広大な展覧会会場に展示作品は多数)。
その僅かな展示絵画作品から、浅井忠の画力やお人柄が充分に窺える構成。
まず、少年時代の絵が、既に完成された作品であること。解説によると、浅井忠は、江戸の佐倉藩・藩士(浅井常明)の長男で、少年期は佐倉で過ごされたと。武士の教養を身に着けると、こうも違うものか…ということを目の当たりにした。
一方、フランス・グレー滞在時の作品。あの当時の留学組で圧倒的な上手さ。黒田清輝 より遥かに!
明治29年に刊行された、洋画普及のための「教科書」も、数多く展示。
展覧会の中で、注目していた部分の一つは、東京美術学校(東京藝術大学の前身)を辞めさせられたことをどのように扱うのか…という点。
キャプション内に一言で記され、思った以上にさらっと、流した雰囲気もあり、知らない人には何のことだかわからないだろう。もし、自分が絵を教わる立場なら、絵が上手い人、教えることが上手い人、人格者といわれる人…から習いたい。当時の美術学校は政治色が濃すぎる印象も。
展示作品には、日清戦争従軍時の部隊を描いたものもあり、まるで、「坂の上の雲」(NHKドラマ)のセット図案のようにも見えた。
浅井忠は兄弟に、あの場で絵を描くことは辛く、帰国後も影響を及ぼしたと伝えている。残されているスケッチや彩色画の完成度の高さといったらない。
また、浅井忠は、交流のあった正岡子規に西洋画を教えたと。展示室には、浅井忠の絵に子規の俳句(直筆)が付けられたものも展示されていた。
浅井忠が描いた子規は ドラマの中の “のぼさん” そのもの。この絵もドラマセットの元図になったのだろう。
この後も展示は続き、浅井忠の京都時代、図案や陶芸絵付けをはじめ、京都高等工芸学校(京都工芸繊維大学の前身)、聖護院洋画研究所(後に関西美術院)などにおける後進の育成等に広がる。とにかく、展示室が広い。
この展覧会の展示の核となる資料、千葉県立美術館所蔵の浅井忠の日記(4種)「筑波日記」「従軍日記」「巴里日記」「フォンテーヌブロー日記」は、デジタルアーカイブからも閲覧可能。
https://asaidiary.chibi-archive.jp/
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