ミロ展
東京都美術館|東京都
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弱い子もミロ
♪強い子のミロ
じゃなくて、ミロの絵は摩訶不思議であっても、タイトルが意味不明であっても、なんとなく穏やかにジンワリと心と体に効いてくるみたいなとこがあって、麦芽飲料で虚弱体質が改善される感じなのかなあと思えてくるのです。
キュービズムやフォービズムなんかだと、「ファイトーいっぱーつ!」みたいな滋養強壮ドリンク剤的な効能、オールオーバーやサイケデリックの現代アートに至っては、違法薬物でTRIPしたかのような毒性を有しますからね。知らんけど(笑)
都美で絶賛開催中のミロの大回顧展、始まって間もない3月初めに行きました。学生さん無料期間だったので、人は多いかなと思ってたらさほどでもなし。快適な鑑賞空間でした。
展示はミロの青の時代というか、まだイっちゃってない1910年代から始まります。習作的な絵からは、誰もその後のミロの絵は想像できません。
それが20年代になると、いきなりぶっ飛んじゃいます。
世はシュール真っ盛りで、ミロもその範疇に括られたのかもしれませんが、ダリとかマグリットなんかとは全然違って、不条理とか超現実的とかいうよりも、見えたものや心に浮かんだ情景を脳味噌でフィルターにかけたら、「こんなん出ました」とキャンバスに投影したって感じです。
まあ、アブスト画ってのはどれもそうかもしれませんが、ミロの場合はモチーフが何となくわかったりするのがいいんです。
それは人や動物であったり、物であったり、自然であったり。答え合わせは全然違うことも多いのが困りものなんですが。
それに拍車をかけるのが謎のタイトルです。
メインビジュアル《オランダの室内》。んーーーー、まあオランダにいた時に描いたのかなあ。
もう一つのメインビジュアル《カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち》。
もはや意味不明。どこにカタツムリおるんや!人はどれや!化け物が3匹おるのはわかるけど。
他にも続々とチンプンカンプンタイトルが登場、それ見て絵を見ても整合性なんてどこにもありません。
でもなぜか腹は立たない。おう、そうかそうか、これが鳥か、女はあれか、と、まさにミロ先生の術中にハマってしまうのです。
私は学習しました。「女」の見分け方を!
これはピカソと同じです(笑) 二人のスペイン爺さん、頭の中にはアレしかないんかいと、呆れを通り越して微笑ましい。
気を取り直して真面目にいきます。
展示見てて思ったのは、ミロの郷土愛です。それはカタルーニャであり、バルセロナがモチーフとなっている作品が結構あること。
FCバルセロナのポスターは1974年の作。クライフがいてリーグ優勝した年ですね。
ミロ爺がカンプ・ノウスタジアムで応援する姿を想像すると嬉しくなります。
一方で、自らの作品が投機対象となることへの抗議として、絵に火をつけて燃やした《焼かれたカンヴァス》ってのもありました。
これ、バンクシーがオークション会場でやったシュレッダー事件の元祖じゃないでしょうか。
翔んではいますが、ミロって人は意外と気骨の人だってことがわかります。
私が好きなミロは3次元作品。宇宙人のようなオブジェは全世界の子供たちから愛されるんじゃないでしょうか。
図録は赤、青、黄の色違いが3種類。各色の表紙絵も違って、購買意欲をそそられます。
なんでこの三色にしたか、単に三原色だからという理由じゃないと私なりに考察しました。
キーは、スペイン国旗とFCバルセロナです。国旗は赤と黄色、バルサのクラブカラーは青と赤。
いかにも母国と故郷を愛するミロにマッチしてるじゃないですか。もし国旗とバルサを意識してこの3色にされたとしたら、キュレーターさんに大拍手です。
図録で思ったのですが、これを絵本代わりに子供に買ってやるってのはいかがでしょう。
まだ字も読めない幼児がいいですね。どの絵にどんな反応示すのか興味あります。
うちの子育ては数十年前に終わってますが、ミロ好きのご両親なら面白いんじゃないかな。
日美で坂本美雨さんが、《カタツムリの燐光・・・》の絵を子どもの頃に部屋に貼ってそれを写してたとおっしゃってました。
やっぱ、教授とアッコちゃんの娘さんは違うなあと妙に納得してしまいました。
とまあ、最初から最後までミロの不思議な魔術に酔いしれた展覧会でした。
大人が楽しめるのはもちろんですが、次世代のミロリアン育成のために、是非お子さん連れで見に行ってほしいです。
強い子のミロ、弱い子もミロ。ミロはみんなの味方です。