開催中装剣金工の名匠 後藤一乗
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後藤一乗(ごとういちじょう 1791~1876)は幕末から明治初めに活躍した装剣金工です。後藤家は代々将軍家の御用を務めた装剣金工の名門で、一乗は数えで15歳の時にその分家の当主となりました。 一乗は...
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清水三年坂美術館は、京都市東山区清水寺門前産寧坂に、2000年に開館した私立美術館で、幕末・明治の金工、七宝、蒔絵、薩摩焼を常設展示する日本で初めての美術館である。
現在館長を務める村田理如(むらた まさゆき / 父は村田製作所創業者 故 村田昭 むらたあきら)は、1980年代終わり頃のニューヨークで、出張の帰りにたまたま入ったアンティークモールのショーウィンドウで見た、繊細で美しいつくりの「印籠」に目を奪われたことをきっかけに、ニューヨークやロンドンに行く度に幕末・明治の美術品を購入するようになった。またサザビーズやクリスティーズといったオークション会社のカタログを取り寄せては落札しているうち、収集品が大量に貯まっていった。
しかし、購入した美術品を眺める時間もない多忙な日々の中で、次第に、毎日好きな美術品を眺めていたい、海外のオークション会場に出向いて直接作品を見て落札したい、と考えるようになり、平成11年に勤めていた会社を辞め、美術館設立の準備を開始した。
戦もほとんどない平和な時代が長く続いた江戸時代、将軍家や大名家はお抱えの蒔絵師や金工師達に調度品や武具などを作らせていたが、印籠や刀装金具などは、もはや実用品ではなく、お洒落を演出する為の小道具になっていき、装飾技術は高度に発達していった。
一方で、大名家をしのぐほどの財力を持った商人達は、競って町の蒔絵師や金工師達に贅を尽くした印籠や刀装金具などを作らせるようになり、それらは、将軍家や大名家のものを上回る程、粋で洒落たものも多かった。
やがて鎖国が解かれ武家社会が崩壊すると明治政府は、お抱えの蒔絵師や金工師達たちの失業対策と殖産興業政策により、輸出用の作品を作らせたが、それらの多くは外貨獲得の為に外人の好みに合わせて作らせた作品で、芸術的には必ずしも評価の高いものではなかった。
しかし、国内需要を意識して作られた帝室技芸員の人達をはじめとする一流の作家達の作品は、非常に洗練された芸術性の高いものであった。それらの作品には欧米文化の影響も受け、江戸時代のものとは異なった新しい感覚の作品も多く見られ、その後は日本人の嗜好が欧米文化に傾斜してゆき、蒔絵や金工に対する国内需要が減少し、衰退の一途をたどりながら今に至る。
清水三年坂美術館では宮内省(現在の宮内庁)はじめ、国内の数寄者向けに作られた一級の作品、および貿易用に作られたものではあるが、美術品としての価値が高いものを選び、展示している。
技法別に分類すると、蒔絵、金工、七宝、焼き物、彫刻などであり、用途別では硯箱、料紙箱、文台、香炉、香箱、小箱、花瓶、印籠、根付、煙草入れ、煙管、煙管筒、矢立、茶碗、刀装金具、帯留め、櫛、かんざし等がある。時代としては明治を中心に幕末・大正あたりまでを含めて収集・展示をしている。どの分野をとっても今や再現不可能な細密で繊細で高度な技術で作られたものばかりである。
二階は特別展示室になっており、3ヶ月毎に企画展示を行う。
一階は常設展示室になっており、明治時代にその技術と芸術性において頂点を迎えた、蒔絵、七宝、金工、京薩摩のなかでも、特に細密華麗で優れた名品を厳選して展示している。多くは、海外に流出していたもので、当時、皇室より制作の奨励を受けていた帝室技芸員の手によるものである。
◆蒔絵
白山 松哉、川之辺 一朝、赤塚 自得、観松斎 など
◆七宝
並河 靖之、林 小伝治、濤川 惣助、平塚 茂兵衛 など
◆金工
加納 夏雄、海野 勝珉、正阿弥 勝義、鹿島 一谷 など
◆京薩摩
錦光山、藪明山、精巧山、司山 など
◆彫刻
高村光雲、石川光明、安藤緑山らの木彫・牙彫作品
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