「転生する超絶技巧」京都文化博物館
本展は大塚オーミ陶業の創業50周年記念展示会です。
「大塚国際美術館」の陶板名画製作で知られる会社ですが、文化財の複製・復元やパブリックアートにも貢献しておられ、その技術の高さを感じられる展示になっています。
一度でも陶芸をしたことがある方なら分かってもらえると思いますが、想定した色と形に作品を仕上げるのは、とても難しいです。ましては一枚板なんて「どうやったらこんな平らな板が焼けるねん」と最初観た時にはびっくりしました。
初めて「陶板名画」という名称を聞いた時、陶板に写真を転写した印刷物をイメージしました。実際には油絵の筆致や金箔のマットな光沢、剥落した壁画の凹凸などが細かく再現されていて、印刷というよりは造形に近い感じがします。
本物を観るというのは貴重な体験ですが、保存のために照明を落としたり、ガラスケースに収められていたり「ちょっと残念だなぁ」と思うこともあります。今回の展覧会は火焔型土器は持ち上げOKで、「キトラ古墳壁画」や「風神雷神図屏風」も明るい照明の中、鼻突き付けるくらい近づいても怒られません。
小さなお子さんや目の不自由な方も楽しめる作品の存在価値は大きいと感じます。
美術業界は経済的に厳しい状況かと思いますが、今後も生活の一部にアートがあるように活動を続けていってほしいと思います。
大塚オーミ陶業さんの作品は街中でも観ることができます。興味のある方はチェックしてみてください。
https://www.ohmi.co.jp/track-record/
会期:2023年10月19日~11月5日
会場:京都文化博物館 別館ホール