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孔雀だけではない、小田原藩士で渡辺崋山と交遊あり
孔雀の絵の名手らしい、という程度の知識で見に行きました。たぶん、千葉市美術館で孔雀の絵は見たことがあると思うのですが、岡本秋暉がどういう方なのか知りませんでした。見終えて、岡本秋暉という画家の輪郭が見えてきたように思えます。こういった画家個人を掘り下げる展示というのは、画業以外の面も見えてきて面白い。
岡本秋暉について分かったことは
・小田原藩士で江戸中屋敷での見回り役しながら画業に勤める
・20代で渡辺崋山や崋山が師事した儒学者の佐藤一斎、椿椿山と交遊
・探検家の松浦武四郎とも親しく松浦の紀行文で挿絵を描いている
・柏村(現柏市)の名主・寺嶋家に逗留して制作している。その寺嶋家伝来の作品を管理するのが摘翠軒記念文化財団で、「世界一」の岡本秋暉コレクションを擁する。今回の展示は半分以上が摘翠軒記念文化財団の収蔵品。
といったあたりです。なかなか秋暉さんは交友範囲が広い。特に崋山とは深く交遊していたようで、崋山が蛮社の獄で処罰を受けて国許蟄居となったとき、品川まで見送ったとのこと。
展示替えあり(後期は7月30日から)、写真撮影は一部可。図録あり。同時開催で「江戸絵画縦横無尽!摘水軒コレクション名品展」もあるので、かなりお得な感じ。