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守一翁、実は旅好き
特別企画展「熊谷守一美術館39周年展 守一、旅を描く。」に行って来ました。たしか30周年で、愛知県美術館木村定三コレクション、岐阜県美術館、名古屋市美術館、個人コレクターなどからも借用し、油彩約に墨絵・書などあわせて100余点が展示されていたと‥。久々に守一翁の世界を満喫した記憶がありました。実はその時は分かっていませんでしたが、熊谷守一美術館の〇周年記念展として、各地で所蔵されている守一作品を観られる特別展は、決して区切りの良い年ではなく、毎年5月28日前後に開催されているのでした。で、それからも私は度々〇周年記念特別展を観て来ています。来年は40周年なのです。一応ちょっと期待し楽しみにはしてみます。今回、タイトル「守一、旅を描く」ですが、決して若い頃の作品という訳ではありませんでした。もう5-6年前? 国立近美さんが守一の大回顧展をやられた頃だったと。山崎努さんが晩年の守一を見事に演じた映画『モリのいる場所』の描くように、守一はその晩年、「自宅と庭からほとんど外出せずに作品を制作し、植物や虫など、ごく身近なモチーフを描いた」のだと周知されていました。でも実際には守一は旅好きで、脳卒中発作を起こす76歳まで、仲間と共に日本各地を旅していたそうです。卒中後は自宅で、かつて旅先で出会った風景スケッチや作品をもとに、再考を重ね更に多くの「旅」作品が製作されていました。旅先で目にした風景は、長い画業の中で、「熊谷守一作品」の創作の源泉となり続けた訳です。もちろん庭の虫や草花や猫をじっくり見つめて愛しみ描くこともしていて、守一が永眠されたのは97歳、つまりまあ20年以上を映画のような日々を送られた訳ですが‥。
今回のお気に入り、初お目見えではないものが多いですが、《風景(蓼科高原大池)(1948年頃)》《湖畔山羊(1950年)》《冬の海(1953年)》《御嶽(1953年)》《朝の富士(1957年)》《秋元湖(1957年)》《山道(1961年)》《開田村(1962年)》などなどです。画家の眼、を感じさせられるものばかりです。風景のみも多いですが、人や生き物を小さく登場させて描く守一の作品は、大自然の中に生きる人や動物たちへの愛と、自然への畏怖とを、感じさせてくれます。
豪雨の日にもかかわらず、館内はかなりの観覧者がいらしていました。やはり、地域の人に親しまれているのかと‥。豪雨で梅雨寒の外とは別世界、ロビー… Read More