4.0
「和」がベースの作品に良い物がありました
私が良いと感じたのは津村光瑠さん、中嶋弘樹さん、矢島史織さん
いずれも「和」がベースになっている作品に興味を持ちました。
◆津村光瑠さん
出品されていた2024グランプリを含む3作品とも素晴らしいものでした。
とかくこうした作品は配色のレイアウトが雑になりがちですが、色を置く位置
がとても良い。そこに複数の色が滲み絡み合い絶妙のコントラストを生んでいる。
色が交差している箇所は近くに寄ってじっくり見てみましたが、遠近感を感じさ
せる色合わせの技は見事としか言いようがない。本展に展示されている作家の中
ではピカイチのレベルだと思います。まだお若いのでこれからが本当に楽しみ。
◆中嶋弘樹さん
個人的には優秀賞を獲得した作品よりformaの2作品(Landscape、aquascape)
の方が断然好みです。この2作品は日本画を素地に感じますが明らかにその枠を
飛び越えて別の次元に達している。他の作品のように画面にアイテムをたくさん
並べるより、この2枚のような絵を追求した方が尖る気がします。
◆矢島史織さん
光の森は良いのだけどもうひと工夫欲しいかな。墨絵の良さを生かしながら別の
次元に転化させる営みはいろんな方がやってはいるけどイマイチうまくいかない。
金の円が若干雑に感じた。もうひと工夫欲しいところ。
今回30代後半~40代の作家の作品をまとめて見ましたが、多くの作家の方が「映
像コンテンツ」(Web、アニメ、ゲーム等)の影響を受け作品にそれが反映されて
いるように感じました。個人的な好みもあるのでしょうが私は「和」をベースに
した作品の方に新鮮味を感じました。