3.0
醍醐寺の歴史力
醍醐寺の歴史と特徴をそこに伝わる文化財を通して紹介する展覧会。仏教美術特有の荘厳さが漂う会場の中でも、展覧会ヴィジュアルを飾る如意輪観音坐像の繊細な美しさには目を見張る。そのほか法具類の造形も興味深く、各品々の解説も充実していた。醍醐寺と秀吉にまつわる展示では桜の名所としての側面にもフォーカスし、近現代の美術から桜の季節を想う。それに続く特設ショップではお香のにおいが仄かに。
ところで、展覧会関連のグラフィックデザインがおしゃれなこと。2014年に奈良博で開催された醍醐寺展にも行ったことがあるが、より大規模かつ厳粛な雰囲気だった記憶がある。それと比較すれば、本展はかなりライトな醍醐寺展に仕上がっていた。桜ミクなるキャラクターのARコンテンツも会場には配されている。本展が醸成する現代的趣向は翻って、1150年の歴史を抱えながらも時代の空気感を受容し、人々に親しまれ続ける醍醐寺の歴史力の表れでもあるのかもしれない。