5.0
當麻曼荼羅信仰と中将姫信仰。
貞享本當麻曼荼羅の修理後初の展覧会です。貞享本と併せて、今回の修理の際に発見された資料も展示されていて、江戸時代に綴織當麻曼荼羅の修理や貞享本制作に関わった人々の想いを垣間見ることができます。
その他にも、鎌倉時代に取り付けられた厨子扉には今年話題の源頼朝や北条泰時の名が刻まれていたり、貞享本以外にも多数の當麻曼荼羅が描かれたということからも、當麻曼荼羅信仰の広がりが分かります。
同時に、綴織當麻曼荼羅を織ったとされる中将姫に関しても、能や浄瑠璃、歌舞伎などの題材となったことで一般に知られるようになり中将姫信仰が高まったようで、幅広い分野の展示があっておもしろかったです。(途中いくつかの展示品の所蔵表示に「ツムラ漢方記念館」とあって不思議に思っていたのですが、ツムラさんも中将姫と縁があったことが最後に判明しました)
綴織の技法で再現した約20cm四方の綴織當麻曼荼羅の部分復元模造が展示されていたのですが、織りの工程だけでも40日掛かったようです。綴織當麻曼荼羅は約4m四方なので…気の遠くなるような作業です。今回、原本である綴織當麻曼荼羅の出陳はないのですが、さまざまな展示を通して、まだ見ぬ綴織當麻曼荼羅のすごさを思い知ることになりました。